職務発明制度改正に向けての動き

公開日: : 最終更新日:2016/11/26 時事ネタ ,

先日ニュースになっていましたが、「職務発明」の法改正に向けて有識者会議の初会合が開かれたそうです。

詳細な資料は下記にあります。
第1回特許制度小委員会 配付資料

この職務発明制度改正において、主に論点となっているのは、

  • 職務発明に係る特許を受ける権利を原始的に会社帰属にするべきか?
  • 職務発明の対価をどうするか?

ということです。

なお、1つ目の論点については、すでに多くの企業において職務発明は実質的に会社帰属になっています。
下記の記事によれば、企業のおおよそ9割は、職務発明を会社帰属にすることを社内規定により定めているそうです。

職務発明「権利は法人」多数-特許庁、アンケート結果公表

このことを考えると、法改正によって職務発明は会社帰属になる可能性が高いと思います。
(あるいは、職務発明制度自体を廃止し、完全に契約に委ねることも考えられます。)

2つ目の論点、職務発明の対価をどうするか?については、従業員と会社との契約に委ねるとか、会社ごとに報酬基準を作って明示させるとか、色々意見が出ているようです。

 

高額な職務発明対価は理不尽

ご存知のように、現状の職務発明規定では、「職務発明 は原則従業員帰属で、会社に承継させる場合には相当の対価を払わなければならない」となっています。

今回の制度の見直しによって職務発明が会社帰属になってしまうと、発明者の権利が弱められてしまうという捉え方もできます。

ここで私見を言わせてもらうと、今の日本のように裁判で高額な発明報奨が認められるのは、やはりクレイジーな状況だと思います。

企業の従業員は、会社の資金、設備、人員があってはじめて研究開発ができるわけだし、発明を製品化し収益化するにあたっては生産管理、営業、マーケティング、会社のブランド力などの貢献が多大なわけです。

いくら素晴らしい技術を発明したからといって、その発明だけで製品が売れる(金が儲かる)と考えるのは、多くの場合間違いでしょう。

加えて、会社の従業員であれば、基本的には研究がうまくいこうがいくまいが、安定的な給料が得られるという立場にあります。

これらのことを考えると、会社の従業員である以上、研究開発に対してほとんどリスクをとっていないことになります。
低いリスクしかとってないにも関わらず、大きなリターン(多額の発明報奨)が得られるというのは、どう考えても道理に合わないでしょう。

そして、発明以外の貢献(発明報奨の対象にならない人の貢献)が多大にあるにも関わらず、発明者だけに高額な対価を支払うというのは公平性を欠いています。

 

従業員と会社との契約に委ねるべき

この職務発明制度の見直しに対して、企業の搾取につながるとか、発明者の国外流出を招くみたいな懸念を煽っている論説を見かけますが、上で述べた理由から発明者の貢献を過剰に評価しているし、的外れな指摘じゃないかと思います。

職務発明の対価については、給与や福利厚生などを含めた技術者へのインセンティブの1つであると考え、法律でしばりつけるのではなく、市場の原理に任せるのが最終的に一番うまくいくのではないでしょうか?

下記の記事で城繁幸氏が指摘しているように、全体的な報酬体系の中に発明の対価を組み込み、企業と従業員との契約に委ねるというのが時代の流れに合っているのかなという気がします。

人事から見た「職務発明制度」見直し 特許は法人に帰属させてよい

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Comment

  1. aloha より:

    企業経営という立場から見ると、
    従業員にどのくらいの支払うべきか
    どのように考えているのでしょうか
    定期採用の場合、一律
    スカウトの場合、バラバラ?
    発明対価は結果次第?
    発明しなければ、0、
    発明すれば、?
    立場を変えると、別の視点があるかもね

    • umegreat より:

      alohaさん

      コメントありがとうございます!

      会社との契約に委ねるというのは、中途入社(スカウト)の場合には馴染みやすいですが、新卒採用の場合だと難しいかもしれませんね。

      案としては、最初は一律の規定を適用して、2,3年たった段階で個別に交渉とか?

      色々考える余地がありますね。

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