トヨタが特許開放 トヨタの思惑は?

公開日: : 最終更新日:2016/11/26 時事ネタ , ,

久々に時事ネタについて。

先日、トヨタが燃料自動車関連の特許をオープンにすることを発表しました。

トヨタ自動車、燃料電池関連の特許実施権を無償で提供

概要としては以下のとおりです。

  • トヨタ保有の世界で約5,680件の燃料電池関連の特許(審査継続中を含む)の実施権を無償で提供する
  • ただし、原則、これらの特許を実施して燃料電池自動車(FCV)の製造・販売を行う場合、2020年末まで(想定)の特許実施権を無償とする
  • 例外的に、水素ステーション関連の特許(約70件)に関しては、水素ステーションの設置・運営を行う場合の特許実施権を無期限で無償とする
  • 特許実施に際しては、トヨタに申し込みをし、実施条件などについて個別協議の上で契約書を締結する必要あり

 

トヨタの思惑は?

巷のニュースでは、トヨタは燃料電池自動車の普及を目的として燃料電池自動車関連の特許をオープンにしたと報道されており、トヨタの英断を称える内容が多いです。

たしかに、燃料電池自動車を普及させるというのは、今回の特許オープンの目的であることは間違いないと思いますが、その裏にはトヨタの思惑が隠されているように見えます。

具体的には、以下のようなことです。

 

電気自動車への牽制

今回の特許無償提供に踏み切った背景として、電気自動車(EV)の開発を進めているテスラが特許をオープンにしたことが少なからず影響しているでしょう。

トヨタは、特許開放によって、エコカーの流れを電気自動車から燃料自動車へと引き戻したい、と考えているはずです。

 

ここで、トヨタは燃料電池自動車と並行して、電気自動車の開発も行っており、一見どっちに転んでも良いようにも思えます。

しかし、それはあくまで表向きで、実際は電気自動車には乗り気ではないようです。

この点については、以下の記事が非常に興味深いです。

トヨタがEVに乗り切れない理由 浸透すれば帝国が崩壊する?

記事から重要部分を引用します。

約3万点の部品で構成され、複雑な構造のガソリンエンジン車に対し、EVは電池とモーターという2つの部品がクルマの性能を決定付ける。「EVは電池とモーターがあれば動く。安全性は大前提だが、部品点数も少なく、異業種も参入しやすい」とある大学教授は解説する。

EVの心臓部である電池は自動車メーカーではなく、パナソニックなど電機各社が技術を保有しているケースが多い。これはピラミッドが崩れるだけでなく、状況次第では将来的に自動車開発の主導権を電機メーカーに握られてしまう可能性があることを意味している。

つまり、電気自動車がエコカーの主流になってしまえば、トヨタが蓄積してきたすり合わせ技術が不要になり、競争力を失ってしまう。

それに対して、燃料電池自動車(FCV)なら、EVよりもハイブリッド車等で蓄積してきたノウハウを活かし易い。

そのため、特許をオープンにして、電気自動車よりも燃料電池自動車の方がメインストリームになるように持って行こうとしているのです。

 

契約によって技術情報を吸い上げる?

ニュースのタイトルだけ眺めると、トヨタの燃料電池自動車の特許はしばらくフリーだから勝手に使える!と思ってしまいそうですが、よくよく読んでみると、「特許を使用する際は、トヨタに申し込みをし、契約書を締結する必要あり」と書いてあります。

この契約書というのが曲者で、特許は無料で使えるかもしれないが、別のところで代償を払うことになるかもしれません。

もしかしたら、トヨタがオープンにした特許をエサに、他社の技術情報を吸い上げようとしているのではないでしょうか?

 

少し業界が離れますが、IBMが似たようなことをやっているそうです。

IBMは特許のライセンスフィーをリーズナブルにし、代わりに、ライセンス契約の条項で、その特許(技術)の使用目的をIBMに報告させる義務を課している、と聞いたことがあります。

こうすることで、他社からの技術情報がIBMに集まってくるようになり、IBMはその情報を活用してビジネスを有利に進めているのだとか。

今回のトヨタも同じようなことを考えているかもしれません。

 

2020年末までの期間限定

今回の発表でどうも不思議なのが、2020年末までを特許開放の期限としたことです。

これは、テスラに比べるとずいぶん歯切れが悪いですね。

燃料電池自動車の普及を呼びかけておきながら、ある意味矛盾しているようにも思えます。

最悪、ようやく燃料電池自動車が実用化された段になって、特許開放の期間が終わって刺されるということもあり得るわけで、この発表を聞いて燃料自動車をやろうと思う企業がいるのでしょうか?

 

正直、この点についてのトヨタの意図は良くわかりません。

やっぱり、せっかく積み重ねてきた特許を他社に無期限で使わせるのは惜しかったんじゃないですかね?

おそらく、実施許諾を受けるための契約において、2020年末以降はライセンス料(もしくはそれ以外の対価)をトヨタに納めるということを条件にさせるのではないかと思います。

 

そんなわけで、トヨタの思惑をあれこれ予想してみましたが、本当のところはいずれ明らかになっていくのではないかと思います。

この件については、引き続きウォッチしていきたいですね!

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