イシューからはじめよ

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
安宅和人
英治出版
売り上げランキング: 1,807

 

最近は仕事術的な本はあまり読まなくなったのですが、久々にためになったビジネス書があったので紹介します。

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
」です。

本書のテーマは、イシュー!
本書におけるイシューとは、「自分のおかれた局面で本当に解くべき問題」という意味です。

本書で何度も強調されているのは、仕事に取り掛かる前に、まず本当にそれが解くべき問題(イシュー)なのかを徹底に考えること。

著者の安宅和人氏は、生物化学の研究に従事したあとでマッキンゼーに進んだというキャリアで、本書では、コンサル的なビジネスにおける実例に加えて、科学分野での実例も交えているため、幅広い視点からイシューについて理解することができます。

 

「犬の道」を避けろ!

私がこの本を読んで特に印象に残ったのが、「バリューのマトリックス」です。

このマトリックスでは、横軸にイシュー度、縦軸にアウトプット(解)の質をとります。
そして、このマトリックスの右上、つまり、イシュー度が高く且つ解の質が高いものこそがバリューのある仕事だというわけです。

さらに、圧倒的に高いパフォーマンスを実現するためには、まずイシュー度が高い仕事に集中し、その上でそれに対する質の高めていくことが大事だと述べられています。

逆に、一心不乱に大量の仕事をしてバリューを出そうとするやり方を、本書では「犬の道」と呼んでおり、とくにかく「犬の道」に陥ることがないように戒めています。

筆者の経験上、やみくもに仕事をしたところで、それがバリューのある仕事になる可能性は限りなく低い。
「犬の道」のアプローチを取ることで、仕事が荒れ、質の高い仕事を生むことができなくなり、その結果ダメな人になってしまうというのです。

本書ではさらに、イシューを定めた後でそれをどうサブイシューに分解するのかや、分析のやり方、アウトプットの伝え方などについて述べらています。
そこらへんのやり方も実例豊富に紹介されており、イシュー出しからその解を出すまでのプロセスを実践できるようになっています。

 

本書を読んだ感想

「イシュー」という考え方は、自分の中では以前からぼんやりと意識はしていたものの、明確にはなっていなかったし、徹底して実践されてもいませんでした。
「まずは、イシューについて考える!」、「犬の道に陥らない!」ということを明確に意識できるようになったので、本書から得るものは大きかったように思えます。

この考え方を知財業務に適用できないかと試行錯誤しています。

まず、知財戦略のような大きな問題を考える際には、イシューから入るという考え方は不可欠だと思います。

例えば、

  • 「事業Aに対して集中的に権利化に取り組むべきか?」
  • 「B社とのクロスライセンスにおいて技術Cに関する特許を除外するべきか?」

など、その会社で真にフォーカスするべきイシューを洗い出し、それについて解を出すことで、実践的な知財戦略ができるのではないかと。

あとは、特許明細書の作成やOAなどにおいても、イシューを意識することで、論点がぶれることなく効率的に仕事を進められるのではないかと思っています。

まずはイシューについて考えることを日々の仕事で実践していきたいです。

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
安宅和人
英治出版
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