知財業界でホットなものは人工知能?

G検定のイメージ

どうもお久しぶりです!

今年も弁理士の日の企画ということでドクガクさんからお声がけ頂き、久々にブログを更新する機会を得ました!

で、今年のお題は「知財業界でホットなもの」です。

さて、ホットなものというのをどう定義するか?

色々考えた末、内閣官房の知的財産戦略本部が発行している「知的財産推進計画2016」を参考にすることにしました。

国のおえらいさんが注力しようとしているものなんだから、ホットなものに違いないだろうと(笑)“"

 

知財業界でホットな人工知能

この知的財産推進計画2016ですが、デジタルネットワークの発達に対応した法整備、コンテンツの海外展開の促進、地方における知財活用の推進、知財紛争処理システムの活性化など、大まかなところでは1年前の推進計画と比べて似たり寄ったりの内容になっています。

しかし、その中で明らかに目新しいキーワードがあります。

それがAI(人工知能)についてです!

具体的には、下記のことが述べられています。

AI創作物が人間の創作物と質的に変わらなくなった場合にAI創作物を知財制度上どのように取り扱うかなど新しい時代に対応した知財システムの在り方について、検討を進めていくことが必要である。

その理由として、下記のような課題があることが挙げられています。

現在の知財制度上、人工知能が自律的に生成した生成物は、それがコンテンツであれ技術情報であれ、権利の対象にならないというのが一般的な解釈である。しかしながら、人間の創作物とAI創作物を外見上見分けることは通常困難である。このため、「AI創作物である」と明らかにされている場合を除き、人間の創作物と同様に取り扱われ、その結果、一見して「知的財産権で保護されている創作物」に見えるものが爆発的に増大する可能性がある。

要は、AI創作物と人間が創作した著作物との区別がつかくなっており、そこに著作権があるのか無いのかが分からずみんなが混乱するので、AI創作物の取り扱いをちゃんと定めましょう、ということですかね。

ただ、どちらかというとAI創作物を知財保護する方向で検討するような記載ぶりになっています。

 

個人的には、AI創作物に著作権を与えるのはなんだか微妙だなぁと感じています。

近年機械学習の効率が飛躍的に良くなり、人間がそれっぽいと感じるような文章を生成できるようになっていますが、本質的には、機械が適当な単語の羅列を吐き出しているのと変わらないですからね。

 

もう一つ、特許行政サービスの質向上の項目で、人工知能技術を活用することに言及されています。

ただ、こちらは以下の記載があるだけで、具体的に何をするのかはよく分かりません。

産業財産権を取り巻く環境の多様化・複雑化や特許、実用新案、意匠、商標を含む特許 行政事務の業務量の増加に適切に対応していくため、人工知能技術を活用した更なる業務の高度化・効率化の可能性を中長期的に検討する。

この項目は知的財産推進計画2016のポイントにもわざわざ挙げられているのに、若干肩透かしな感はありますね。

 

なお、今年6月初めに行われた五大特許庁(日本、米国、欧州、中国、韓国)の会合において、IoTやAI等の新技術への対応で各庁との協力を図ることが合意されたそうで、海外においてもAI関連の知財保護の議論が活発になる可能性があります。

 

すでに人工知能が知財業務に利用されている?!

著作権の話は置いておいても、やはり今後知財業務に人工知能が関係してくることは不可避かもしれません。

人工知能を活用した知財サービスとしてどのようなものがあるのかざっと調べてみました。

特許調査

すでに特許調査においては、人工知能を利用するサービスが提供されています。

日本だとUBICが以下の様なサービスを提供しています。
Lit i View PATENT EXPLORER

人工知能が調査対象に対して関連性の高い文献を判断し、自動で順番に表示。
また、フィードバックをもとに再学習を行うことで精度が高まるとのことです。

海外でも同じようなサービスがありました。
AI patents

ディスカバリ

上で述べたUBICがdiscoveryについても人工知能のサービスを提供しています。
Lit i View E-DISCOVERY

類似のサービスは他にもあると思います。

翻訳

すでに機械翻訳はありますが、人工知能の利用によりその精度がさらに良くなると翻訳にかかるコストが一気に下ることは想像に難くありません。

ロゼッタという会社が人工知能を利用した自動翻訳サービス「熟考」を提供しているそうです。

特許、医薬、化学などの専門用語に強いのだそう。

あとは、Google翻訳などもすでに人工知能が利用されているそうですね。

その他

あと、面白い取り組みとして、アメリカの特許文献からテキストをもとに、先行文献となるような文章を機械的に自動生成し、公開するというものがあります。

その名も、All Prior Artというサイトです(笑)

この活動によって、特許制度のあり方に一石を投じだり、パテントトロールを牽制したりすることが狙いとのことです。

 

人工知能が知財業界を変えるのか?

というわけで、「知財業界でホットなもの」として人工知能を取り上げてみました。

これから人工知能が世の中、引いていは知財業界をどう変えていくのかは興味深くもあり、恐ろしくもありますね。

10年後も我々の仕事が人工知能に取って代わられていないことを祈るばかりです(笑)

※他のブロガーさんの記事は下記をご参照ください。
知財業界でホットなもの

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1 Comment

yy

こんにちは。。
知財の分野にもIT技術が導入され、業務が機械化されてきてますが、明細書を仕立てるとか、拒絶理由対して応答するとかには、未だ人間の力が必要とされていると思っていますが、その業務も機械的にやれる可能性はありそうに見えます。 時間の問題なのかな。
ところで、転職して、IT業界には行っていますが、知財のサポートはどの位必要なのかな。
標準になれば、貢献は大きいけど、標準にならないと、ビジネス規模も小さくて、費用対効果を考えると、知財投資も厳しい事業分野ではないでしょうか。
知財は事業の規模が適当に大きくないと効果がないような気がします。
では。。

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