大学では理系の学部に入った場合、卒業後の年収はどのようになるのでしょうか?
就活をひかえた学生の方などは、
理系だと、どんな仕事に就けば給料が良いのか?(あわよくば年収1000万円にいけるのか?)
は非常に気になるところだと思います(笑)
というわけで、この記事では、理系の年収の相場感や高収入な理系の仕事について書いてみたいと思います!
ちなみに、これを書いている私は、理系の大学院を卒業後に大手企業に入社し、5年後に別業種の企業に転職した経験があります。
また、企業で採用担当をした経験もあるので、参考にして頂けると思います。
本記事の内容
理系の平均年収は?
まずは、理系だと平均的にどのくらいの年収になるのか、相場感についてご紹介します!
理系 vs 文系の平均年収
まず、理系と文系とでは、卒業後の年収がどのようになっているのでしょうか?
経済産業研究所が行った調査によれば、男性の平均年収は、
- 文系出身者:559.02 万円(平均年齢 46 歳)
- 理系出身者: 600.99 万円(平均年齢 46 歳)
だそうです。
理系出身者の方が平均年収が高くなっていることが示されています。
一方、別の調査(浦坂・西村・平田・八木(2010))では、
- 文系出身者:660.02 万円(平均年齢 41 歳)
- 理系出身者: 702.03 万円(平均年齢 41 歳)
となっています。
平均年収は、母集団による影響が大きいためか、調査によって結構数値が違いますね。
ただ、傾向としては、文系よりも理系の方が平均年収が高くなるのは確かなようです。
ちなみに、一昔前までは、文系の方が年収が高いというのが定説でした。
これは、銀行や証券会社などの高所得な仕事が文系職であったためだと思われます。
しかし、少なくとも近年においては、年収の面で理系優位であることはデータ上明らかです。
理系の年代別平均年収
当然ながら、年収は職務経験を積むほど高くなっていくもので、年齢によってもかなり変わってきます。
では、理系の場合、年齢によって年収がどのように遷移するのでしょうか?
Tech総研が行った調査によれば、理系学部の出身者の年代別の平均年収は、
- 20代後半:423.9万円
- 30代前半:518.9万円
- 30代後半:627.4万円
- 40代前半:696.5万円
になるとのことです。
もう一つ、経済産業研究所が行った調査では、理系国立男子、文系男子、理系非国立男子の3つの集団に分けて、年齢による所得の遷移をグラフ化しています。
文系と比較すると、理系のほうが年齢に伴う所得の上昇率が大きくなっています。
あと、同じ理系であっても、国立と非国立とで露骨に年収の差が出るのは興味深いですね・・・。
大手企業だともう少し年収は高くなる
ちなみに、上記はあくまで平均年収なので、一部上場企業などの世間で名前の通った企業であれば、もう少し高くなります。
私の経験からすると、大手企業の理系職だと、上記のグラフの「理系国立男子」と同等か、そこから+100万円以内くらいの水準になるかと思います。
ご参考までに、私の過去の年収(源泉徴収票)も上げておきます。
当時の私のスペックは、
- 理系の大学院卒
- 大手電機メーカー(一部上場)
- 社会人5年目(20代後半)
という感じでした。
そのときの年収は約586万円でした。
理系の院卒でメーカー入社数年だと、大体これくらいの年収になるんじゃないですかね?(残業時間で多少の上下はありますが、まだ昇進とかの差はあまりない)
サンプルの1つとして参考にしていただければ・・・。
理系で年収1000万円を稼げる仕事
年収1000万円といえば、世間ではなかりの高給取り。
社会的な成功の一つの基準として、年収1000万円を考えている人も多いんじゃないでしょうか?
しかし、上で書いたように、理系の平均的な年収は40代前半でも700万円前後です。
従って、年収1000万円を目指すのであれば、普通のやり方ではなかなか難しいです。
ここでは、理系で年収1000万円を稼げる(かもしれない)仕事をご紹介します!
- 企業の研究・開発職
- AIエンジニア、データサイエンティスト
- フリーランスエンジニア
- 戦略コンサルタント
- 資格で独立
企業の研究・開発職
理系の就職先の王道と言えば、企業の研究・開発職ですね。
一般的なキャリアパスではありますが、研究・開発職で年収1000万円を目指すことも十分可能です。
ただし、上で書いたように、普通の企業で一般職として働くだけでは、せいぜい40代で年収700万円止まりです。
研究・開発職として年収1000万円以上にいくには、それなりの戦略が無いとダメ。
具体的には、少なくとも下記のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 年俸水準の高い企業に就職する
- 年俸水準の高い業界で就職する
- 管理職になる
年俸水準の高い企業に就職する
よくネットの記事にある「給料が高い企業ランキング」に載っているような会社に就職するというやり方。
こういった企業であれば、全社的な年俸水準が高いため、管理職にならずとも年収1000万円を超える可能性が高いです。
具体的には、製造業だと、
- キーエンス
- ファナック
- レーザーテック
- JFEホールディングス
- トヨタ自動車
- ソニー
- 任天堂
などの企業でしょうか。
ただ、こういった企業は就活生の人気が高く、毎年就職希望者が殺到します。
そのため、そこに就職できるかどうかは時の運なので、確度が低いという問題はありますね・・・。
年俸水準の高い業界に就職する
業界によって年収の相場感は結構違うもので、年俸水準の高い業界を狙って就職すれば、年収1000万円を超える可能性が高まります。
具体的には、製薬、通信キャリア、ITなどの業界は全体的に年収水準が高いです。
なので、年収だけで考えるなら、こういった業界を狙って就活するのが良いですね。
(一方で、食品や化粧品などは上記に比べると水準が低く、有名企業でも意外と年収が低かったりします。)
仮に、最初に入った会社で年収1000万円を超える見込みが低くても、同じ業界内で転職すれば年収アップを狙うことができます。
管理職になる
王道ですが、出世して組織内のポジションを上げることで年収1000万円を目指す、という道もあります。
上で紹介した年俸水準の高い企業・業界だと、ヒラや主任クラスでも年収1000万円を超える可能性はあります。
しかし、それ以外の企業は、地道に課長や部長などの管理職を目指すしかないでしょう。
ただ、社内での出世は個人の能力はもちろん、時の運もあるので、確度が低いです。
また、管理職になるとマネジメントが仕事のメインになり、研究開発の現場から離れてしまう、というのはありますね。
そのあたりが許容できるかというのも1つのポイントです。
AIエンジニア、データサイエンティスト
年収という観点で今一番ホットな職種は、AIエンジニアやデータアナリストですね。
今の時代、猫も杓子もAIの状態。
どこの企業もAIでひと山当てようと必死になっています。
そんなこともあって、転職市場においてAIエンジニアは非常に売り手優位な状態です。
ざっとネットでAIエンジニアの求人を調べてみても、
- 都内のAIベンチャー:年収500万円~1,200万円
- 国内大手シンクタンク:年収600万円~1,200万円
- デジタルマーケティング企業:年収830~1500万円
など。
もちろん、スキルレベルによって年収に差は出てきますが、トップ層のエンジニアは破格の待遇で企業に迎えられます。
フリーランスエンジニア
フリーランスエンジニアとして独立して、個人事業主、あるいは小さな会社を立ち上げて活動する道です。
フリーランスはリスクが大きい分、実は普通の企業で会社員として働くよりも稼ぎやすいです。
エンジニアの場合、在庫や設備投資はほぼ不要ですので、仕事が取れれば収入は青天井です。
また、経費として色々落とせるので、仮にサラリーマンと同じ収入でも、実質的な可処分所得は多くなります。
ただそれは、あくまで仕事を取れればの話。
当然ながら、会社員のように毎月一定の給料が入ってくることはなく、仕事が無ければ無収入に近い状態になってしまいます・・・。
なので、エンジニアとしてのスキルが一定以上あるのはもちろんのこと、営業や情報発信をしてクライアントを獲得に努めることが求められます。
戦略コンサルタント
戦略コンサルティングファームは高年収で知られています。
コンサルと言えば文系職のイメージがあるかもしれませんが、実は理系出身のコンサルタントも多くいます。
私の知り合い(理系)も外資系の戦コンに行っている人が何人かいますね。
コンサルタントの仕事は、
- 大量のデータを分析する
- データ(ファクト)をベースに、論理思考(ロジカルシンキング)を積み重ねて打ち手を検討する
といったことが日常茶飯事に行われるので、理系と相性がいいんですね。
資格で独立
資格を取って独立することで年収1000万円を目指すというパターン。
理系だと、
- 医者
- 歯科医
- 薬剤師
- 建築士
など資格を必要とする高収入の仕事がありますね。
一方で、上記の資格は大学で専門の学部を修了していなければ、受験資格が得られません。
そのため、それ以外の学部出身だと、資格取得に非常にハードルが高いという問題があります。
実は、受験資格に特に制限が無く、且つ理系の知識を活かせる資格に弁理士があります。
弁理士とは、
知的財産の専門家で、特許、意匠、商標の出願手続の代理などができる資格
です。
特に、特許の仕事は技術を理解するための理系知識が求められます。
そのため、元研究者など理系出身の方が弁理士を目指すというのは、意外とよくあるパターンなのです。
そして、弁理士は難関資格であるだけに、高年収を目指せますし、独立して大きく稼ぐことも可能です(もちろん楽な道ではありませんが)。
弁理士の年収ついては以下の記事で詳しく書いています。

なお、その他の理系におすすめの資格については、下記の記事で書いています。

まとめ
というわけで、理系の年収と1000万円を稼げる仕事について書いてきました。
まとめると、
- 理系の平均年収は40代で600〜700万円程度
- 年代別だと、20代後半で420万円、30代前半で520万円、30代後半で620万円、40代前半で700万円くらい
- 文系より理系の方が平均年収が高い傾向
- 理系で年収1000万円を目指すのであれば、業界や職種選びを工夫する必要あり
というかんじですね。
また、理系で年収1000万円を稼げる(かもしれない)仕事として以下を挙げました。
- 大手企業の研究・開発職
- AIエンジニア、データサイエンティスト
- フリーランスエンジニア
- 戦略コンサルタント
- 資格で独立
もちろん、年収が高い仕事に就けば幸せになれるとも限りませんが、仕事選びで年収は重要な要素であることも事実。
キャリアを考える上で知っていおいて損はないかなと思います。
ご参考になれば幸いです!
理系で研究職以外の仕事は?
理系出身であれば、研究職や開発職に就くのが一般的です。
しかし、中には「自分は研究職に向いていない」と感じる方もいるでしょう。
実は私も大学院在学中に自分は研究に向いていないと感じ、文系就職したクチです。
実は、研究職以外でも理系の人が活躍している仕事は意外とあります。
理系出身者の研究職以外の仕事については下記の記事で書いています。

理系の年収アップのためには
本文で紹介したように、企業や業界によって年収水準は大きく異なります。
そのため、転職で別の企業や業界に移ることは、年収を上げるための大きな選択肢の1つです。
年収アップが望める良い求人と出会うためには、転職エージェントの利用が不可欠です。
しかし、研究職の場合、転職エージェントの担当者が、求職者の技術的な専門性をあまり理解してくれない可能性があります。
その結果、的外れなアドバイスをしたり、適切な求人を紹介されない、というケースもあります。
そのため、転職活動の際には、理系の転職に特化したエージェントを選びたいところです。
理系特化の転職エージェントには、製造業に強いところやIT系に特化したところなど、いくつか種類があります。
例えば、下記のようなエージェントが挙げられるので、ご自身の専門性に併せて選ぶと良いでしょう。
理系の転職エージェントのおすすめは下記の記事で詳しく書いていますので、併せてご参考に!
