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世間では、弁理士は理系の資格として認知されています。
かくいう私も理系学部にいた大学時代に弁理士を目指すことにしました。
しかし、実は弁理士になるには、特許法や商標法などの法律を猛勉強しなければならず、試験では理系とはほど遠い知識が求められたりします。
では、理系出身の彼ら・彼女らはどういった思惑で、弁理士になったのでしょうか?
この記事では、弁理士に理系が多い理由や、一例として私(理系出身)が弁理士を目指すことになったエピソードを書いてみたいと思います!
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本記事の内容
弁理士は理工系出身者が8割も占めるのは何故?
まず、事実として、理系出身の弁理士は多いです。
下記は、弁理士試験の最終合格者のうち、理工系と文系の比率の推移をまとめたグラフ。
なんと合格者のうち理工系の人が約8割を占めます。
※弁理士試験統計を元に当ブログで作成
世間で言われているように、弁理士は理系の資格であるというのは統計データからも明らかですね。
しかし、冒頭でも述べたように、弁理士試験自体は、ガンガンに法律知識が問われる試験です。
それなのに、なぜ理系の人が多く弁理士を目指すのでしょうか?
その理由は、
弁理士の仕事は特許がメインであり、特許の仕事をやるには理系の知識が必要だから
です。
以下、もうちょっと詳しく説明します。
弁理士の仕事は特許がメイン
弁理士が主に行うのは、特許、意匠、商標の出願手続の代理です。
その中でも、特許は弁理士の仕事の大部分を占めます。
特許行政年次報告書によれば、2018年度の出願件数は以下のようです。
- 特許:313,567件
- 実用新案:5,388件
- 意匠:31,406件
- 商標:184,483件
特許の出願件数が突出しているのがわかりますね。
さらに、特許は出願1件あたりに得られる売上が意匠や商標に比べると高く、ほとんどの特許事務所は特許を収益の柱にしています。
このように、弁理士の仕事のパイ全体において、特許が占める割合がかなり大きいのです。
特許には理系知識が不可欠
そして、その特許の仕事をやるには、理系的な専門知識が不可欠です。
特許の仕事はざっくり言うと、技術者がした発明(技術的な工夫やアイデア)をヒアリングして、それを文章で表現する(特許明細書を作成する)仕事です。
発明というと漠然としてイメージがわかないかもしれませんが、具体例を挙げると、
- ヒト誘導多能性幹細胞を、無血清培地中、X細胞増殖因子存在下で培養することを特徴とする、ヒト誘導多能性幹細胞を神経幹細胞に分化誘導する方法
- 運転者の運転に対する即応性の程度を推定するための機械学習を行った学習済みの学習モデルに車両からの撮影画像を入力することで、運転者の即応性スコアを算出し、即応性スコアが所定の条件を満たさない場合に、自動運転から手動運転モードへの切り替えを禁止する自動運転車両
みたいなかんじです。
当然ながら、こういった発明をちゃんと理解して文章にするためには、その分野の技術的な専門知識が必要。
(さらに、理系の弁理士の中でも、専門とする技術分野で住み分けがなされていたりします。)
弁理士に理系的な専門知識が不可欠なのがお分かり頂けるかと思います。
なお、弁護士も登録すれば弁理士業務ができてしまいますが、上記の理由で文系の弁護士が特許を扱うことは難しく、実質的に特許は理系の弁理士の独占業務となっています。
(一方で、商標・意匠は理系的知識を必要としないので、弁護士の参入が容易。)
理系大学生の僕がなぜ弁理士を目指したのか?
そんなわけで、弁理士に理系が多い理由は、
弁理士業務のメインである特許に理系知識が必要だから
でした。
とはいえ、大学で理系科目を専攻したのであれば、研究者やエンジニアになるのが普通であり、弁理士になろうと考える人間はごくごく少数です。
それなのに、
彼ら・彼女らは何を思って(世間ではマイナーな)弁理士というものになったのか?
と疑問に思う人もいるかもしれませんね。
そんな疑問にお答えするために、一例として私(理系出身)が弁理士を目指すことになったエピソードを挙げます!
かく言う私も元は理系で、大学時代に弁理士というものを知って、弁理士を目指すことにしました。
以下は昔話になりますが、お付き合いください。
弁理士資格との出会い
今から〇〇年前、私はとある国立大学に通う理系の学生でした。
大学の4年生になって研究室に配属されたものの、研究テーマに特に興味があるわけでもなく、かと言って就職活動をする気にもならなかったので、モラトリアム的に大学院進学することに。
ただ当時は、理系で研究者になる以外のキャリアを全く知らなかったので、自分も時が来れば研究者として企業かどこかで働くんだろうなぁと漠然と考えていました。
そんなある日。
たまたま立ち寄ったブックオフで、理系の研究者について書いた古本を見つけました。(下の画像)
左:私が弁理士を知るきっかけになった本。思い出深いので未だに持っています(笑)
右:弁理士の記載があるページ。300ページ近くあるうちのほんの1, 2ページです。
その本(「博士号とる?とらない?徹底大検証!」)は、理系の学生がドクター(博士課程)に進んで、研究者としてやっていくためのあれこれを書いた本でした。
本の巻末に、研究者以外の理系のキャリアがオマケ程度に紹介されていて、その中に「弁理士」というものが紹介されていました。
これが、私と弁理士との出会いでした。
分量にして1, 2ページ程度でしたが、目が釘付けになったのを覚えています。
弁理士には法律と理系の両方の知識が必要
その本によれば、
弁理士は、研究者がした発明を特許出願したりする国家資格で、特許法などの法律的な知識と、技術を理解するための理系的な知識の両方が必要な仕事
とのことでした。
当時私は、
せっかく今まで理系の勉強をしてきたんだから、何らかの形で理系の知識を活かしたい!
と考えていたので、弁理士という仕事は自分にぴったりだなぁと思いました。
さらに、そこから弁理士について調べてみると、
- 弁理士になるには、弁理士試験に合格しなければならない
- 弁理士試験は国家資格の中でもすごく難しい
- 受験生は、資格予備校に通って勉強するのが普通
というのがわかりました。
というわけで、善は急げ!
弁理士の存在を知った次の日には、資格予備校(LEC)に行って50万円近くする弁理士講座に申し込んだのです(笑)
そこから猛勉強を開始してして(すごく大変でした・・・)、修士課程の2年生のときに弁理士試験に合格!
就職も企業の知的財産部に決まり、以来ずっと知財の仕事をしています。
研究・開発以外の、理系知識を活かせる数少ないキャリアであるのが魅力?
以上、私が弁理士を目指すことになった個人的なエピソードでした。
でも、弁理士を目指した人であれば、実は根底にある理由って自分の場合と似たりよったりじゃないかと思うんですよね。
自分の経験に照らして考えてみると、弁理士になろうと思う理系の人の根底には、
- 研究・開発職への諦め
- 理系への未練
があるんだと思います。
研究開発に自分は向いていない、あるいは研究開発の仕事を続けるのがしんどくなっている。
でも、だからと言って、今まで積み重ねてきた理系の知識やキャリアを捨てたくない、と思っている。
そんな人にとって弁理士は、研究・開発以外の、理系知識を活かせる数少ないキャリアとしてかなり魅力的に映るんじゃないかと思います。
実際、研究者やエンジニアをやっていた人が、資格を取って弁理士に転身する例はかなり多いです。
まとめ
というわけで、
- 弁理士の8割が理系出身
- その理由は、弁理士業務のメインである特許に理系知識が必要だから
- 弁理士は、研究・開発以外のキャリアを模索している理系の人に魅力的
という話でした!
理系で弁理士に興味を持っている人の参考になれば幸いです。
弁理士を目指すには?
弁理士に興味を持って「目指してみようかな?」と思った方は、まずは以下の記事をどうぞ。
弁理士資格の概要や試験制度、登録までのプロセスなどを詳しく解説していますので、参考になると思います。
【弁理士になるには?】知っておきたい知識と具体的な始め方を解説します!
弁理士になるための一番のハードルが弁理士試験に合格することです。
弁理士試験の最終合格率は例年7%前後と、国家資格の中でも最難関クラスと言われています。
(詳しくはこちらの記事を参照)
そのため、弁理士を目指す場合、独学で試験を突破しようというのはかなり無謀だと言わざるを得ません。
弁理士試験の受験ノウハウを持っている資格予備校を利用するのが合格への近道です。
実際、ほとんどの受験生は資格予備校の弁理士講座を使って勉強しています。
弁理士講座を提供している代表的な予備校として、下記のようなところがあります。
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LECは予備校の中では一番知名度が高く、長年弁理士試験の合格者を多数出してきた実績があります。
また、講師のバリエーションも豊富で、通学とオンライン講座を柔軟に組み合わせられるのもLECの強みです。
その分受講料は高いですが、それを許容できる人は、やはりLECを選択するのが一番無難でしょう。
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一方で、資格スクエアはオンライン講座に特化していますが、その分受講料はLECよりだいぶ安いです。
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受講料を抑えつつも、一定のクォリティを担保したい方は、資格スクエアを検討してみると良いでしょう。
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各資格予備校の弁理士講座の比較については、下記の記事でまとめています。
弁理士講座の選び方のポイントや、全予備校の弁理士講座の特徴をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください!
弁理士の通信講座おすすめ【2024年版】全予備校を徹底比較