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弁理士は理系資格の最高峰と言われる非常に難しい資格。
しかし、難しいだけあって、弁理士資格を取得できれば、独立して特許事務所を開業できたり、就職や転職で有利になったりとメリットがある資格です。
そんな弁理士について気になるのが年収の話。
巷では「弁理士になったら1000万円は軽く超える」とか、「最近は弁理士でもあんまり稼げない」とか色々言われていますが、実際のところはどうなんでしょうか?
特に、これから弁理士を目指そうとしている人は、弁理士を取ってどれくらい稼げるか気になると思います。
というわけで、この記事では、
弁理士の年収って実際のところどうなの?
と気になっている方に向けて、弁理士の年収事情について書いてみたいと思います!
なお、私は学生時代に弁理士資格を取り、新卒で企業の知財部に入って以来10年近く企業知財の仕事をしています。
まわりに弁理士の知り合いも多く、ある程度内情を知っているので、参考にして頂けると思います。
- リーガルジョブボード ※知財専門のスタッフが在籍。特許事務所の求人に強い転職エージェントです
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本記事の内容
特許事務所勤務(大手)の弁理士の年収
まずはじめにですが、弁理士といっても勤務形態が様々で、人によって年収も大きく変わります。
具体的には、弁理士の勤務形態として、
- 特許事務所に勤務
- 一般企業に勤務
- 独立
の3つに大きく分けられ、それぞれ給与水準が異なります。
また、当然ながら、個々の弁理士の経験やスキルなどによっても年収は異なります。
といったことを踏まえて、まずは1番メジャーであろう、特許事務所勤務の弁理士の年収についてです!(特許系の弁理士を想定しています)
以下、中堅以上の比較的規模の大きい特許事務所を想定した弁理士の年収水準をご紹介します。
特定の事務所の年収水準というよりは、業界的な相場感というイメージです。
そのため、個々の特許事務所の給与水準にはかっちり当てはまらないかもしれませんが、おそらく大きくはズレていないと思います。
(なお、念のためですが、年収は源泉徴収票に記載される額面上の金額で、手取りとは異なります。)
見習い 〜500万円
未経験からスタートする場合、年収500万円を超えることはないでしょう。
やはり特許事務所は成果主義的な側面が強いので、弁理士資格があっても業務経験がなければ年収300〜400万円代になります。
どんな仕事でも最初から高い給料が得られるということは無く、ここは踏ん張ってスキルアップするしかありません…。
経験を積んで、指導が無くても明細書が書けるようになってくれば、次のランクにいけます。
ジュニアレベル 500〜700万円
弁理士業務の経験が3〜5年程度のジュニアレベルであれば、年収は500〜700万円程度です。
イメージとしては、ベテランのサポートを受けつつも、おおよそ明細書作成や中間処理を一人で回せるくらいのレベルです。
法律事務所だとジュニアアソシエイトみたいな呼ばれ方をしますね。
例外的に、前職で研究・開発の経験があって技術に詳しい人であれば、知財業務未経験でもこのあたりの給与レンジから入る場合もあります。
シニアレベル 700〜1000万円
シニアレベルの弁理士であれば、年収は700〜1000万円くらいのレンジになります。
弁理士業務についての経験が一定以上あり、完全に独り立ちしている弁理士です。
(余談ですが、腕のいい特許技術者であれば、弁理士資格が無くても年収800万円くらいまではいくでしょう。)
ちなみに、
弁理士全体の平均年収は約700万円
と言われています。
実感としても、弁理士全体の中で、最もボリュームが大きいのがこの給与レンジですね。
残業や休日出勤をしまくってガンガン案件をこなせば年収1000万円に近い水準までいく場合もあります。
ただ、普通に働いているだけでは1000万円くらいが限界で、このあたりの年収で留まる弁理士が多いのも事実です。
さらに上を目指すのであれば、
- マネージメントをやる
- クライアントの開拓などの営業面に力を入れる
- リスクを取って独立する
といった、別次元での努力が必要になります。
マネージャー 1000万円〜
大きい特許事務所であれば、特定の技術分野やクライアントを担当するグループがあり、そういったグループのマネージャー(リーダー)を務める弁理士がいます。
マネージャークラスの弁理士になれば、年収1000万円を超えてきます。
一担当者として明細書作成などの案件をこなしつつ、チーム全体のマネージメント、経験の浅い弁理士の指導・育成も仕事として入ってきます。
パートナー 2000万円〜
そこそこの規模がある特許事務所のパートナークラスであれば、年収2000万円を超えるでしょう。
パートナーは、勤務弁理士というよりは経営者に近くなるので、報酬体系がガラリと変わります。
まず、報酬が通常の勤務弁理士以上に事務所の業績に左右されることになるため、報酬の変動リスクが大きいです。
また、パートナーは特許事務所としての責任を負うので、例えば、期限管理をミスってクライアントの権利が消滅してしまえば損害賠償責任を負う可能性もあります。
そういったリスクが高い分、報酬も通常の勤務弁理士に比べれば格段に高く、事務所の業績が良ければよりダイレクトに報酬に反映されます。
仕事としても、新規クライアントの獲得や海外の法律事務所との関係構築など、経営や営業に関する仕事の比率が高くなります。
その他弁理士の年収(企業内弁理士、法律事務所、文系、独立)
上では、一般的な特許事務所勤務の弁理士の年収でした。
それ以外の勤務形態の弁理士もいるので、それらの年収を書いてみたいと思います。
企業内弁理士の年収
弁理士として企業の知財部に勤務するパターン(いわゆる企業内弁理士)がありますね。
ただ、企業に勤務する場合だと、実は弁理士であるかどうかは給料にあまり関係がなかったりします。
基本的には、弁理士であろうとなかろうと、年収は企業内の給与体系に応じたものになります。
知財部があるような大企業であれば、主任クラスで800万円くらい、マネージャーになると1000万円を超えるくらいになるでしょう。
そういった意味では、大手の特許事務所とそれほど大差がなかったりします。
ただ企業の方は年功序列である一方、特許事務所は成果報酬のところが多いので、特に若い人であれば企業よりも事務所の方が稼げる場合があります。
知財部の年収については、以下の記事で詳しく書いているので、こちらも参考にしてみてください。
知財部の年収はどれくらい?|ポジション別に紹介します法律事務所の弁理士
数は少ないですが、法律事務所に勤務する弁理士もいます。
仕事としては普通の特許事務所と大きく変わりませんが、やや鑑定や訴訟関連の仕事の比率が高くなります。
やはり、法律事務所は全体的な年俸水準が高いので、弁理士の報酬レンジも通常の特許事務所より高めです。
そのため、上で紹介した「特許事務所勤務の弁理士の年収」における同じランクでも+100〜200万円くらいになります。
文系弁理士の年収
上では主に特許を担当する理系弁理士の年収を書いてきました。
しかし、弁理士の中には、商標や意匠を主に担当する弁理士(文系弁理士)もいます。
文系弁理士の基本的な年収レンジは、上で紹介した「特許事務所勤務の弁理士の年収」から100万円程度割引いたものになります。
独立した弁理士の年収
昔よりもだいぶ厳しくなったと言われますが、今でも弁理士資格を活かして独立する弁理士は一定います。
稼げるか稼げないかは、完全に己の実力次第。
そんなわけで、独立弁理士の年収は正直言ってピンキリで一概には言えません。
クライアントを開拓してガンガン案件を取ってくる独立弁理士がいる一方で、引退間近の弁理士がお付き合い程度に仕事をやっている、みたいなケースもあります。
当然ながら、案件がどんどん舞い込めば年収は青天井ですが、思うように案件を獲得できなければ、食うに困るような状態になります。
というわけで、人によって差がありすぎて、その人次第としか言えないですが、そこそこ上手くやれば年収2000万円は超えるのではないかと思います。
弁理士で年収1000万円は現実的?
ビジネスパーソンであれば年収1000万円は一つの目標であり、弁理士を目指す多くの方が「1000万稼げるようになれればなぁ」と思っているでしょう。
しかし、上で述べたように、弁理士といえども平均的な年収は700万円くらいで、現実には、1000万を超えるのはそう簡単ではありません。
では、1000万稼ぐにはどうすればよいのか?
基本的な方向性は以下の2つしかありません。
- リスクを取って独立する
- 勤務弁理士としてトッププレイヤーを目指す
独立して1000万円以上を目指す
どんな仕事でも、リスクの大きさと報酬は正の相関関係にあります。
弁理士も例外ではなく、独立した方が1000万円以上を容易に目指せるのは言うまでもありません。
しかし、うまくいくかは実力次第なので、万人におすすめできるものではありません。
ちなみに、ここで言う実力とは、単に「良い明細書が書ける」という狭義ではなく、
- 実務能力(明細書作成や中間処理の質とスピード)
- 営業能力(クライアントの開拓、関係構築をうまくできるか)
- 経営センス(どういった価格設定、労力配分をすれば収益を最大化できるか)
を合わせた総合的な力です。
また、「まとまった数の案件を依頼してくれるクライアントと出会えるか?」という、時の運もあります。
弁理士の独立については、以下の記事で詳しく解説しています。
弁理士の独立開業のためのキャリア論勤務弁理士として年収1000万円以上を目指す
勤務弁理士の中で1000万を超えるのは、いわゆるトッププレイヤーです。
しかし、独立というリスクを冒さずに年収1000万円を目指すには、こちらの道しかありません。
基本的には、事務所内でのポジションを上げていくことになりますが、「これ以上上にいくのは難しそうだな」とわかる場合もあります。
その場合には、転職して、より自分を高く買ってくれる特許事務所に移るのが定石です。(もちろん、一定以上の実務能力があるという前提ですが)
その際は、特許事務所を慎重に選ぶことが重要で、イマイチな事務所に入ってしまうと、年収が伸び悩むことになりかねません。
特に、いくら働いても給料が上がらず搾取される構造になっているブラック特許事務所は回避したいところ…。
転職の際の特許事務所の選びについては、以下の記事を参考にしてみてください!
特許事務所はやめとけ?転職で後悔する理由ランキングまとめ
というわけで、弁理士の年収の現実について色々書いてきました。
まとめると、以下のようです。
- 見習い:〜500万円
- ジュニア:500〜700万円
- シニア:700〜1000万円
- マネージャー:1000万円〜
- パートナー:2000万円〜
- 企業内弁理士:700〜900万円(主任クラス)
- 法律事務所:800〜1200万円(シニアレベル)
- 文系弁理士:600〜800万円(シニアレベル)
- 独立弁理士:2000万円〜(うまくいった場合)
おそらく、知財界隈に詳しい人であれば、「まあ、こんなもんだよね」と思ってもらえたのではないかと。
でも、もしかしたら、読む人によって「弁理士ってこれだけしか稼げないのか…」と思ってしまったかもしれませんね。
今の時代、資格があるだけでガッポガッポ稼げるというものは存在せず、結局は資格を取っても稼げるかはその人次第になります。
しかし逆に言えば、弁理士は努力次第では上を目指せる資格であるとも言えます。
年収が全てではありませんが、目指すべき1つの指標であるのは確かでしょう。
年収を上げるには転職が必要な場面もあります。
弁理士の転職については以下の記事でまとめています。
弁理士に限らず、知財の仕事で転職しようとしている方には参考にして頂けると思います。
弁理士の転職ノウハウ総まとめ!|知っておくべき10のポイント
また、弁理士の転職においては、どの転職エージェントを使うかも重要な要素です。
弁理士であれば、知財の転職に特化したエージェントを使うのが良いでしょう。
以下、おすすめの転職エージェントです。
- リーガルジョブボード ※知財専門のスタッフが在籍。特許事務所の求人に強い転職エージェントです
- MS-Japan ※管理部門特化型エージェント。特許事務所、知財部どちらの求人も扱っています
特に、リーガルジョブボードは、知財専門の担当者がおり、特許事務所の求人に強い転職エージェントです。
担当者が特許事務所にヒアリングしており、自分にマッチした特許事務所の紹介が受けられます。
当然ながら、弁理士の年収の相場感も熟知しているので、
- 現状の年収が低すぎるのではないか?
- 転職による年収アップは可能か?
といった相談もしやすいでしょう。
「自分の年収が妥当であるのか」などはエージェントと定期的に情報交換しなければなかなかわからないことです。
まずは登録して相場感を確認することをおすすめします。
※知財専門のスタッフが在籍。特許事務所にヒアリングを行っており、マッチした事務所の紹介を受けられます
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なお、知財の転職エージェントについては、下記の記事で詳細を書いています。
私が転職活動した際に使った転職エージェントの感想も書いているので、ぜひ参考にしてください!
知財・弁理士の転職エージェントおすすめ6選|体験談も紹介します