知財部への転職はなぜ難しいのか?【採用担当者が理由を解説します】

ハイクラスエージェントのイメージ

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知財の仕事は専門職ということで、知財業界ではかなり転職が盛んです。

通常、知財の転職先としては、

  • 企業知財部
  • 特許事務所

のいずれかになります。

このうち、企業知財部については転職するのが難しいと言われています。

 

実際のところは、求職者のバックグラウンドによって知財部への転職難易度は変わってくるわけですが、確かに難しいと言われる所以もあります。

この記事では、企業知財部への転職の難易度について解説したいと思います!

 

ちなみに、これを書いている私は学生時代に弁理士資格を取り、新卒で企業の知財部に入って以来10年近く企業知財の仕事をしています。

私自身も大手メーカーから別業種の企業の知財職に転職したり、企業で採用に関わった経験もあるので、参考にして頂けると思います。

知財部への転職におすすめ
  • マイナビエージェント ※企業への面接対策などサポートが手厚い。特に20代〜30代の方におすすめ(※マイナビのプロモーションを含みます。)
  • リクルートエージェント ※転職エージェントの最大手。求人案件が非常に豊富
  • ビズリーチ ※ハイクラスの求人案件が多い。企業の採用担当者が閲覧しており、スカウトを受けられる

なぜ知財部への転職は難しいのか?

知財部への転職の難しさのイメージ

一般に、知財部への転職は難しいと言われています。

これは、以下のような理由によるものだと思います。

知財部の転職が難しい理由
  • 大企業なので人気が集中する
  • 募集人数が限られる
  • 弁理士資格よりもフィット感が重視される

大企業なので人気が集中する

まず、知財部がある会社というのは大企業である場合がほとんどです。

例を挙げると、

  • パナソニック
  • ソニー
  • 日立
  • キヤノン

などの大企業で、これらは新卒の就活ランキングで上位に入るような企業ばかりです。

当然ながら、大企業は転職先として人気が高いため、求人があると転職希望者が殺到することになります。

募集人数が限られる

企業において、知財部の人員は、開発部門などと比べて絶対数が少ないです。

大雑把にいうと、開発者100人に対して知財担当者1人くらいの割合だと思います。

また、知財部があるような大企業の多くは新卒で知財職を採用しますし、開発部門からの異動もあります。

 

上記のような理由から、企業が知財部の求人を出すにしても、大規模採用ということはまずありえません。

せいぜい1社あたり1, 2人の募集に留まります。

これも知財部への転職難易度を上げる要因になります。

弁理士資格よりもフィット感が重視される

企業の採用において、実務経験や資格以上に、

フィット感:採用候補者が、その会社・組織のニーズや文化に合うかどうか

が重視されます。

 

例えば、ある企業の知財担当者の募集に対して、

  • Aさん:39歳、弁理士、企業や特許事務所で10年以上の知財経験
  • Bさん:27歳、企業で3年の知財経験

という2人の候補者がいるとします。

この場合において、弁理士で経験豊富なAさんは不採用となり、知財経験が少ないBさんが採用されるということが、企業の採用ではしばしば起こります。

 

これは上述のフィット感によるものです。

企業側が、

Bさんの方が性格的にうちの会社に向いてそうだし、組織の年齢構成的にもバランスが良くなる。経験が足りない分は採用後に教育すれば良い

と考えた場合、Bさんが採用されます。

(一方で、企業がマネージャーやシニア人材を強く求めていればAさんが採用されるでしょう)

 

このように、いくら弁理士資格や知財経験があっても、その会社にフィットしなければ不採用になるところが、知財部の転職が難しいと言われる1つの要因だと思います。

【属性別】知財部への転職難易度

知財部に寄せられた数々の履歴書

そんな知財部への転職ですが、実際のところ、転職難易度は「候補者のバックグラウンド」によってかなり変わってきます。

つまり、候補者に知財部の勤務経験があるのか、などの要素によって左右されます。

ここでは、

  1. 知財部 → 知財部
  2. 特許事務所 → 知財部
  3. 未経験 → 知財部

の3つのケースについて知財部への転職難易度を見ていきます。

1. 知財部→知財部の難易度

まず、知財部勤務の人が他社の知財部に転職する場合について。

 

この場合、私の感覚としては、比較的容易に転職できます。
(もちろん、本人の資質、年齢、景気動向などにもよりますが)

 

やはり、企業知財の出身者だと会社の中での動き方がある程度わかっているので、企業側も採用しやすいというのはあると思います。

特に、近い業界の企業からの転職だとなおさらですね。

 

ちなみに、私が転職活動をしたときの経験だと、応募した全ての企業(4, 5社くらい)はすべて書類選考を通過し、面接のオファーがありました。

やはり、大手メーカーの知財部のバックグラウンドは強かったと思います。

結果、IT企業の知財部門に転職が決まりました。

2. 特許事務所→知財部の難易度

続いて、特許事務所の弁理士や特許技術者の方が、企業知財部に転職するという場合はどうでしょうか?

この場合も転職可能性は十分あるものの、転職に成功するかどうかは企業側のニーズ次第なところがあります。

従って、若干転職難易度は上がるように思います。

 

例えば、私の前職である大手メーカーの知財部では、特許事務所出身の弁理士を採用するケースが結構ありました。

メーカーがあえて特許事務所出身の弁理士を採用するのは、特許出願や権利化の即戦力として期待されているからに他なりません。

大手メーカーの知財部では、自社内で特許明細書や意見書・補正書の作成を行うケースが結構あります。

特許事務所出身の弁理士であれば、まさにそういった仕事の経験が豊富なので、強みがダイレクトに活かされます。

 

一方で、自社で明細書作成等を行うのは一部の大企業に限られ、大多数の企業ではせいぜい出来上がったドラフトをチェックするくらいです。

そのような企業では、特許事務所の経験がそれほど評価されない可能性があります。

もちろん、権利化能力に長けていることは事務所出身者の強みですが、それに加えてアピールできるポイントが欲しいところです。

 

弁理士(特許技術者)が企業知財部に転職する際の注意点については、下記の記事で詳しく解説しています。

ハイクラス転職にチャレンジするイメージ【弁理士の転職】企業知財部に移るときの成功のポイントは?

3. 未経験→知財部の難易度

一般的に、知財業務未経験の人が知財部に転職するのはかなり難しいです。

やはり、知財の仕事は専門性が高いため、経験者を優遇する傾向にあります。

 

ごく稀に未経験で知財部に転職した事例を聞いたこともありますが、「第二新卒扱いで採用された」といった場合に限られます。

やはり最低でも、20代且つ理系で技術的な知識があるといった条件が前提になります。

 

未経験で知財部に転職したい場合は、

  • まずは自分がいる会社内で知財部門への異動を検討する
  • 特許事務所への転職をはさむ

などが定石です。

知財の仕事に未経験で就くための方法論については、下記の記事で詳しく解説しています。

僕が書いた退職エントリのイメージ知財の仕事に未経験で転職できる?メーカー出身の僕が解説!

企業知財部への転職の進め方

知財部の採用のイメージ

では、企業知財部を狙って転職活動を進める場合、どういった点に注意すればよいのでしょうか?

ここでは、いくつかポイントを挙げてみたいと思います。

自分の市場価値を知るには?

まず、転職活動を進めるかを判断するためには、自分の市場価値を把握することが欠かせません。

市場価値を把握することで、転職の成功率や年収などの見通しを立てることができます。

できれば定期的に転職エージェントやヘッドハンターなどと連絡を取り、自分の市場価値を確認しておくのがベターですね。

 

しかし、30代半ばにもなってくると、会社でそれなりの役職が付いたりして転職に慎重になりがちです。

今すぐ転職する気はあまり無いけど、良い案件があれば検討したい

といったように、様子見したい場合もあるでしょう。

 

そんな方は、ビズリーチに登録しておくと良いでしょう。

ビズリーチは、マネジメントやエクゼクティブ層などのハイクラスの求人案件が豊富な転職サイトです。

スカウト機能があり、ユーザが登録したプロフィールを企業の採用担当者が閲覧できるようになっています。(プロフィールは匿名で表示されます)

 

私も過去に採用担当の立場でビズリーチを利用したことがあり、大企業知財部のシニア層の方などを中心に結構な数の登録がありました。

やはり知財のトップ層の方はこうやって自分の市場価値をチェックしているんだなぁと思った記憶がありますね(笑)

 

転職エージェントのように、担当者から頻繁に連絡が来ることもないので、じっくりと良い求人がないか吟味できます。

転職は様子見の方も、自分の市場価値を測る意味でも登録しておくと良いでしょう。

>> ビズリーチに無料登録する

※ハイクラスの求人案件が豊富でスカウト機能もあり!
※無料で登録できます

知財部狙いなら大手エージェントが基本

いざ転職活動をすると決めたら、転職エージェントに登録するところからがスタートです。

 

世の中に転職エージェントは、大手や業界・業種に特化したものなど数多く存在します。

その中で、企業知財部への転職を希望するのであれば、大手の転職エージェントを使うのが基本です。

大手のエージェントは業界を問わず企業とコネクションがあるため、その時点で存在する知財部の求人案件を網羅的に集められるのがメリットです。

(なお、知財の転職に特化したいわゆる特化型エージェントも存在しますが、こちらは特許事務所に強い印象で、企業知財の転職には向いていないと思います。)

 

大手だと下記のいずれかに登録しておけば間違いないでしょう。

転職サービス 特徴
リクルートエージェント 転職エージェントの最大手で知名度高し。とりあえずはここに登録しておくのが無難
マイナビエージェント 企業への面接対策などサポートが手厚い。特に20代〜30代の方におすすめ
※マイナビのプロモーションを含みます。
doda(デューダ) リクルートに次ぐ大手エージェント。

ちなみに、私が転職活動した際は、上記のエージェントに全て登録しました。

その上での感想ですが、大手だと基本的なサービスには正直それほど差は無く、どちらかというと担当者の当たり外れの方が大きいですね。

なので、できれば複数のエージェントに登録しておいて、担当者がイケてる方をメインで使うのがセオリーです。

 

強いて個人的なおすすめを挙げるとすれば、マイナビエージェントですかね。

私も転職活動した際に、マイナビエージェントの方に企業の詳細情報を教えてもらったり、面接対策してもらったりとお世話になりました。
(結果、マイナビに紹介してもらった企業に転職を果たしました(笑))

面接対策などサポートが手厚いので、特に20代〜30代前半の方には良いと思います。
(※マイナビのプロモーションを含みます。)

>> マイナビエージェントに無料登録する

※面接対策などサポートが手厚く、特に20, 30代の方におすすめ!
※無料で登録できます

 

なお、知財の転職エージェントのおすすめについては、下記の記事で詳細を書いています。

私が転職活動した際に使った転職エージェントの感想も書いているので、ぜひ参照してください!

弁理士口述試験のイメージ知財・弁理士の転職エージェントおすすめ6選|体験談も紹介します

求人選びのポイント

転職エージェントに登録し、担当者に希望条件を伝えると、求人案件が大量に送られてきます。

エージェントの立場からすると、実際に求職者を転職させなければお金が入らないので、あまり条件が合わない企業も含めてとにかく幅広に応募するように勧めてくるでしょう。

しかし、全く意に沿わぬ企業に応募することは、求職者にとっても企業側にとっても良いものではありません。

自分の中で判断軸をもって応募する求人を仕分ることが重要です。

 

求人(企業)選びにどういった判断軸を持つかは人それぞれですが、個人的には、その企業の知財部門の規模に着目すると良いと思います。

知財部門が大規模であれば仕事は分業的・専門的になりますし、小規模だと裁量の範囲が広く様々な業務を扱う傾向にあります。

もし、現職の業務内容から大きく変えたいのであれば、規模が異なる企業を中心に検討すると良いでしょう。

 

その他に、年収はやはり重要な考慮要素の1つですね。

求人の仕分けをする際に、ある程度年収の相場観を知っておくと良いでしょう。

知財部の年収については、下記の記事を読めばある程度の相場観がわかるかと思います。

私が大手メーカーの知財部だった頃の年収も公開しているので、ぜひご参考に!

年収のイメージ知財部の年収はどれくらい?|ポジション別に紹介します

職務経歴書の書き方

転職エージェントの登録と並行して、職務経歴書の準備を行います。

転職活動において職務経歴書が果たす役割は非常に大きいため、気合を入れて仕上げることが重要です。

 

職務経歴書は、書類選考を通過するために重要なのは言うまでもありませんが、その後の面接の場面でも影響してきます。

面接では、職務経歴書の内容をベースに、面接官が興味を引かれたポイントについてつっこんで聞かれる、というスタイルで進む場合が多いです。

仮に、職務経歴書の記載が雑だったり、一貫性が無かったりすると、面接の場面で困ったことになるかもしれません。

 

知財の職務経歴書の書き方については、下記の記事で詳しく解説しています。

私が転職活動の際に実際に使った履歴書・職務経歴書もお見せしているので、ぜひご参考に!

知財部の転職のイメージ知的財産の職務経歴書にはこれを書け!【実物を公開します】

面接

転職活動の中でも山場となるのが、採用面接です。

基本になりますが、

  • これまでの経歴
  • 転職理由
  • 会社への志望動機
  • 入社後の働き方
  • 転職活動している業界
  • 選考が進んでいる企業

などは面接官から問われるので、自分なりの考えを整理しておきましょう。

 

なお、会社によっては知財の専門家が面接官をするとは限らず、例えば、人事、法務、あるいは経営企画の人が面接官を担当する場合があります。
(特に知財組織の規模が小さい会社の場合)

その場合には、相手は知財の仕事に詳しくないという前提で、仕事内容や実績などをわかりやすく噛み砕いて伝える必要があります。

 

以下は、やや新卒やジュニア向けの記事にはなりますが、知財部の面接や志望動機の考え方について書いたので参考にしてみてください。

知財部の採用のイメージ知的財産部への志望動機は面接に必須!|具体的な文案もご紹介

まとめ

というわけで、知財部への転職の難しさについて書いてきました。

まとめると、

  • 基本的に企業知財部への転職は難しい
  • 知財部→知財部の転職は比較的容易
  • 特許事務所→知財部の転職は場合によりけり
  • 未経験→知財部への転職はかなり厳しい

ということですね。

 

また、後半では、知財部への転職活動の進め方について書きました。

やはり、転職活動の最初のステップは転職エージェントへの登録になります。

迷ったら、下記に登録しておきましょう。

知財部への転職におすすめ
  • マイナビエージェント ※企業への面接対策などサポートが手厚い。特に20代〜30代の方におすすめ(※マイナビのプロモーションを含みます。)
  • リクルートエージェント ※転職エージェントの最大手。求人案件が非常に豊富
  • ビズリーチ ※ハイクラスの求人案件が多い。企業の採用担当者が閲覧しており、スカウトを受けられる

 

なお、人によっては、特許事務所も含めて転職活動したいという場合もあるでしょう。

特許事務所については、企業とはまた違った観点で注意すべき点があります。

特許事務所への転職については下記の記事で詳しく書いています。

デメリットのイメージ特許事務所はやめとけ?転職で後悔する理由ランキング

 

以上、ご参考になれば幸いです!

4 Comments

yy

こんにちは。。
久しぶりに転職の話題、
結構ほかのところでも、たとえば、徒然知財時々日記さんでもありました。
結構キャリアプランとして、難しい問題ですね。
長期の目標が合って、中期の目標がないと
いけないのか、
何も考えずに人生を送るのが良いのか
難しいの一言
といってよいのか
悩みは尽きない、
では。。

umegreat

yyさん

コメントありがとうございます。

徒然知財時々日記さんの記事も拝見致しましたが、自分とはまた異なる視点で書かれていて興味深かったです。
今までの自分は如何に経験値を貯めるかという観点でしかキャリアプランを考えておらず、最終的にそれをどうまとめるのか?というところまでは考えが及んでいません。
本当に難しい問題です。

yy

再度。。
とりあえず、
経験値を高めることが第1歩でしょう。
次は、経験値を行かせる環境、機会が
くるかどうか。
その意味では、運が良くないといけないのかな。
いずれにせよ。遠い目標をたて、それ実現する実行計画を立てることになりますね。
では。

umegreat

そうですね。
チャンスというか、めぐり合わせみたいなものがあるか。
貯めた経験値が活かせる日が来ることを前提にしてがんばるしかないと思います。

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