ちまたで、「知財部に異動してきた人は使えない」みたいな議論をたまに見かけますが、実際のところどうなんでしょうか?
まず、結論から言うと、知財部に異動してきた人=使えない人かというと、全くそんなことはありません!
元開発者や元研究者の方で、知財部員としてバリバリ活躍している人は山ほどいますし、中には弁理士として独立して成功している方もいます。
では、なぜそのようなレッテルが貼られてしまったのか?
そこには歴史的背景があるのです。
知財部は左遷部署だった?
今でこそ知財の仕事は知名度が上がっていますが、昔はかなりマイナーな仕事でした。
昔( 3, 40年くらい前? )は、企業において知財の重要性があまり認識されておらず、知財部門は日陰部署的な扱い・・・。
そのため、知財部門は研究・開発から一線を退いた人の(もっと悪く言えば、開発部門にいられなくなった人の)受け皿的な存在になっていたという歴史的経緯があります。
従って、過去においては、たしかに
知財部に異動=左遷
という図式があったようです。
その後、米国などで日本企業が特許訴訟に巻き込まれるケースが増え、それに伴って企業内での知財部門の重要性が認知されるようになりました。
現在では、知財部があからさまに左遷部署と見なされることはないと思います。
会社内での知財部の地位の低さが一因
ただ、現在においても、構造的に社内における知財部の地位が低くなりがち、という問題はあります。
基本的に、開発部門は製品開発によって企業の収益に貢献する一方で、知財部門は表面的に見ると費用を垂れ流すだけのコスト部門。
(知財ライセンス収入が知財費用を上回っている企業はほとんど無いでしょう)
そのため、知財部の社内的地位が低くなりがちで、企業によっては、「知財よりも開発の方がえらいんだ」という風潮があるのも事実・・・。
そのような企業では、開発や研究でイマイチ成果を上げられない人が知財部に異動してくる(押し付けられる)、というケースも容易に想像できます。
しかし、繰り返しになりますが、 元開発者や元研究者の方で、知財部員としてバリバリ活躍している人は山ほどいます。
へんなレッテルに惑わされず、人を見るようにしたいものですね。