弁理士は国家資格の中でも難易度が高い資格。
そのため、「高学歴でないと弁理士にはなれない」というイメージを持っている人もいるかもしれません。
たしかに、私のまわりの弁理士を見ても、多くの方がいわゆる名門大学の大学院を出ていますね。
では、実際のところ、弁理士になるには学歴がものを言うのでしょうか?
この記事では、
- 弁理士になる前の話 →弁理士試験の合格に学歴は関係するか?
- 弁理士となった後の話 →弁理士として成功するのに学歴は関係するか?
に分けて、弁理士と学歴の関係について深掘ってみたいと思います!
本記事の内容
弁理士試験の合格に出身大学や学歴は関係する?
まず、弁理士試験の合格と学歴の関係についてみていきましょう。
弁理士試験合格者のほとんどは有名大学出身者?
弁理士試験の合格者の出身大学はどこが多いのでしょうか?
想像に難くないのですが、旧帝大や早慶が合格者数ランキングの上位を占めています。
2019年度のデータでは、
- 【1位】京都大学:30人
- 【2位】東京大学:25人
- 【3位】東京工業大学:19人
- 【4位】大阪大学:18人
- 【4位】慶応大学:16人
となっています。
さらに、2015年〜2019年の間の、上位校の弁理士合格者数の合計をグラフで示すとこんなかんじ。
東大、京大の2大学が抜けていて、次に阪大、慶応、東工大などが第2集団を形成しています。
というわけで、弁理士試験の合格者は、名門大学の出身者が多くを占めていると言えます。
合格率も有名大学出身者の方が高い
では、出身大学ごとの合格率はどのようになっているでしょうか?
以下は、弁理士合格者数の上位校の合格率です。(2019年度のデータ)
大学名 | 志願者数 | 合格者数 | 合格率 |
東京大学 | 236 | 25 | 10.59% |
京都大学 | 189 | 30 | 15.87% |
大阪大学 | 143 | 18 | 12.59% |
東京工業大学 | 145 | 19 | 13.10% |
慶應義塾大学 | 111 | 18 | 16.22% |
このように、上記の5大学は、いずれも全体の合格率(例年7%前後)を大幅に上回っています。
これはまあ、当たり前と言えば当たり前の話でして、
難関大学の出身である→ 厳しい入学試験を突破した→ ペーパーテストが超得意
という傾向があるのは間違いなく、難関大学の出身者が弁理士試験で好成績をおさめるのは当然と言えるでしょう。
(もっと露骨に言うと、難関大学出身の人は頭がいいので、弁理士試験にも受かりやすい)
もちろん、上記は統計的な傾向の話なので、弁理士試験の合否が出身大学に直接関係するわけではありません。(別に試験官が出身大学を見て合否を決めているわけではないので)
試験に合格できるかどうかは、あくまで個人の実力にかかっています。
論文試験の選択科目は高学歴が有利
ただ、弁理士試験の中で明らかに高学歴が有利となる場面がありまして、それは論文試験の選択科目です。
論文試験の選択科目では、機械、化学、情報などの中から選択した科目についての専門知識を問われる試験ですが、
- 大学院で理系の修士課程を修了している人
- 所定の資格(情報処理技術者や薬剤師など)を持っている人
などは、試験免除を受けることができます。(つまり、試験を受けなくても論文選択科目は合格扱いになるということですね)
実際、弁理士試験合格者のうち、実に約90%が選択科目免除の適用を受けており、その中の約58%が理系の修士・博士過程を卒業していることにより免除されています。
つまり、論文試験の選択科目においては、院卒以上の高学歴が、試験免除を受けられる分有利になるわけですね。
(ただし、大学院を出ていても、専攻によっては免除を受けられない場合があるので、詳細な条件は特許庁のサイトを確認してください。)
弁理士として成功するのに学歴は関係するか?
続いて、弁理士試験を突破して晴れて弁理士になった後の話です。
弁理士として成功するのに、学歴は関係するのでしょうか?
どちらかというと、こちらの方が大事ですね。
高学歴だと組織内で評価されやすい?
まず、弁理士として特許事務所や企業に勤務する場合。
これは世間一般の感覚と同様で、学歴が良ければ有利に働くでしょう。
まず、就活や転職において、学歴が良い方が採用されやすいのは周知の事実です。
そして、組織内においても評価されやすい傾向がありますね。
もちろん、今どき学歴が良いだけで評価されることはなく、あくまで実際の仕事のパフォーマンスで評価されるのが基本です。
でも、高学歴の人は、良くも悪くも組織の中で注目されるんですよね。
そこで、良いパフォーマンスを出せばちゃんとそれを見てもらえて評価される、逆に言えば成果が評価されずに埋もれるということが相対的に少ないように思います。
これは自分の経験からもそうでして、私も世間的に名門大学を出てますが、社会人になりたてのときは、ちょっとまともなことを言うだけで、「さすが〇〇大だな!」みたいなことを言われた記憶があります(笑)
というわけで、やはり高学歴だと組織の中で注目されやすかったり、後光効果が働いたりするので、多少有利な面はあるかなと。
独立後も高学歴だと信頼を得やすい?
もう一つ、弁理士のとして独立開業したときに学歴が役に立つか?という話です。
適当な特許事務所のサイトを見てもらえばわかりますが、大体の事務所は「所属弁理士の紹介」みたいなページを設けて、所長や所属弁理士の学歴をずらっと書いていますよね。
これは弁理士の学歴が営業(クライアント獲得)に多少なりとも役に立つからに他ありません。
もちろん、
弁理士は実力勝負の世界だから、学歴なんか関係ねぇ!!
という意見もあるでしょう。
しかし、クライアントから仕事の依頼が来なければ、そもそも実力を見せる機会が無いわけです。(独立したてで事務所の知名度がゼロのときはなおさらです)
有名大学の出身ということでクライアントの信頼を得られるんであれば、使えるものは使うという発想です。
結局のところ学歴は「つかみ」の一要素にすぎない
とはいえ、弁理士としての成功に学歴の影響は限定的だと思っています。
たしかにクライアント獲得という「つかみ」の部分では、学歴が役に立つ場面もあるかもしれません。
でも、実態としては
学歴だけでなく、社歴や職歴も含めた経歴
が見られているのであり、学歴は弁理士の経歴の一要素に過ぎません。
それに、いくらクライアントから仕事が取れたとしても、実力が伴わないとその次の依頼はないでしょう。
結局のところ、弁理士の成功は、学歴も職歴も実力も全部ひっくるめた総合勝負ということになり、学歴の部分を他の要素で補うことは十分に可能です。
まとめ
というわけで、弁理士と学歴の関係についてでした。
まとめると、
- 弁理士試験合格者の多くは有名大学の出身者
- 有名大学の出身者の合格率は平均よりも大幅に高い
- 論文試験の選択科目では、免除が受けられる分、高学歴(院卒)が有利
- 特許事務所や企業で働く場合は、学歴が良いと評価されやすいかも
- 高学歴だとクライアント獲得で役に立つかも
- とはいえ、最後は実力勝負
ということでした。
そんなわけで、世の中の弁理士の多くは高学歴ですし、高学歴であるほうがいろんな面で有利なことは間違いないです。
でも、それは弁理士になり、弁理士としてやっていくための決定的な要素では無いこともまた事実です。
そこそこの学歴がある人は安心して弁理士を目指せば良いですし、学歴に自信の無い方は立ち回りを工夫すれば良いだけの話。
学歴の良し悪しを過度に気にする必要はないかなと思います。
弁理士に興味があるなら
弁理士に興味を持っている方は、「【弁理士になるには?】知っておきたい知識と具体的な始め方を解説します!」という記事がおすすめです。
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