知財部に新卒で入れる企業はどこ?就活生が知っておくべきこと

知財部の新卒採用のイメージ

そろそろ就活も真っ盛りになるシーズンということで、就活に関する記事でも書いてみたいと思います。

 

今回のテーマは、「新卒で知財部に入るためにはどうすればいいか?」です。

例えば、

  • 研究室の先輩が知財部に入った
  • 大学で特許についての講義を受けた
  • 研究室で特許出願に関わった

などのきっかけで知財の仕事を知り、企業の知的財産部を就職先の一つとして検討している方もいるかと思います。

 

実は私も理系の大学院だった頃に知財(弁理士)の存在を知り、紆余曲折を経て、新卒で大手メーカーの知財部に入りました。

しかし、知財という仕事はマイナーなこともあり、就活のときに情報集めに苦労した覚えがあります。

 

そこで、この記事では、新卒で知財職を志望する人が知っておくべきことについて書いてみたいと思います!

知財部に新卒で入れる企業はどこ?

採用する企業のイメージ

新卒で知財職に就きたいと思ったら、どのような企業を探せばよいのでしょうか?

新卒で知財職に応募しようと思ったのだが・・・

就活をひかえたある学生の話。

 

いよいよ、就活時期に差しかかり、「そろそろ受ける企業を決めなきゃなぁ・・・」と悩み始める。

 

職種については、なんかよく分からないけど知財がおもしろそうだから、知財職でエントリーできる企業を探そうと考える。

 

そこで、とりあえず、就活サイトを開き、前々から気になる企業の採用ページを覗いてみる。

 

募集要項を読みながら、知財職の募集をしてないかなぁと探してみる。

 

そんなかんじで、色んな企業のページを見てあることに気付く。

 

 

 

「知財部の募集なんてないじゃん!!」

 

以上、新卒の時の私の体験談です(笑)

 

実は、新卒での知財職の募集は、ことのほか少ないのです。

その理由としてはいくつかありますが、そもそも、開発などと比べて知財に必要とされている人員の絶対数が少ないです。

大雑把にいうと、開発者100人に対して知財担当者1人くらいの割合だと思います。

 

それから、規模の小さい企業などは、知財の仕事をさせるために新人を一から教育する余裕が無いため、新卒を採らないことも挙げられます。

こうした背景がある以上、新卒で知財部に入るためには、必然的に狙い所が限られてきます。

まずは大手製造メーカーを検討すべし

では、新卒で知財部に入るためにはどういった企業を狙えば良いのか?

業界ごとに傾向を書いてみます。

大手製造メーカー・電気メーカー

狙い目として真っ先に挙げられるのが、大手製造メーカー・電気メーカーと呼ばれるような企業です。

新卒での知財採用を積極的に行っている企業としては、ここが圧倒的なマジョリティーと言ってもいいくらいです。

 

ここで言う大手製造メーカーとは、日本人なら誰もが名前を知っているような大企業のことで、例えば、

  • ソニー
  • パナソニック
  • キヤノン
  • トヨタ

などです。

知財職の新卒として採用される人数は、大手1社で年間数人〜十数人くらいでしょうか。

化学メーカー

化学・材料メーカーでも、少人数ですが、新卒を採用しています。

実際、私の知り合いも化学メーカーの知財部に新卒で入りましたね。

製薬企業、化粧品メーカー

私が就活をやっていた時は、研究職採用で様々な製薬企業や化粧品メーカーを受けました。

しかし、これらの企業が新卒で知財職の募集しているという話は、ついぞ聞いたことがないですね・・・。

IT系企業

最近は、IT系企業が就活生の間で人気が高まっています。

しかし、新卒で知財職を採用しているという話はあまり聞いたことがないですね・・・。

TLO

TLOというのは、大学から生まれた発明について特許権利化のサポートをしたり、特許ライセンシングをしたりする会社のことです。

ごくごく一部のTLOが新卒を採用しているというのを聞いたことがあります。

ただ、知財関連の仕事になるとは言え、TLOは企業の知財部とは毛色が違います。

企業などに特許を売り込みに行く仕事がメインとなるので、実態としては営業職に近いです。

特許事務所

企業ではないけど、新卒で知財の仕事が就けるところとして、特許事務所もありますね。

大手特許事務所では、新卒採用を行っているようです。

ただ、特許事務所は一般企業とは職場環境が大きく異なるので、本当に入るのかは慎重に検討するべきです。

個人的には、いくら知財の仕事を希望していても、まずは一般企業に入っておいた方が良いと思います。

知財職の新卒採用をする企業はここだ!

で、結局新卒で知財採用をやっている会社って具体的にどこなの?

という声が聞こえてきそうなので、具体的な企業名を挙げてみたいと思います!

全ては網羅できてませんが、以下の企業は知財職の新卒採用をしているようです。

会社名のリンクから各社の採用ページに飛べます。

また、採用規模は例年何人くらい知財職を採用するかの規模感を示すものですが、私の推測なので、あくまでご参考程度にしてください。

注意

以下は、Web検索や私が個人的に知っている情報を元に作成したものになりますが、情報の正確性は保証しかねます。新卒採用のエントリーにあたっては、必ずご自身で情報をご確認ください。

知財の新卒採用をする企業
会社名 業界 採用規模(推定)
日立 電気 10名以上
パナソニック 電気 10名以上
ソニー 電気 10名以上
三菱電機 電気 10名以上
富士通 電気 10名以上
東芝 電気 数名程度
キヤノン 精密機器 10名以上
リコー 精密機器 数名程度
セイコーエプソン 精密機器 数名程度
AGC 化学・材料 数名程度
旭化成 化学・材料 数名程度
富士フィルム 化学・材料 数名程度
三菱化学 化学・材料 数名程度
トヨタ自動車 自動車 10名以上
日産自動車 自動車 数名程度
本田技研工業 自動車 数名程度
京セラ 精密機器 数名程度
ヤマハ 精密機器 数名程度
ダイキン 精密機器 数名程度
半導体エネルギー研究所 精密機器 数名程度
SCREEN IPソリューションズ 精密機器 若干名
任天堂 ゲーム 若干名
楽天 IT 若干名
TMI総合法律事務所 事務所 若干名
志賀国際特許事務所 事務所 若干名
創英国際特許法律事務所 事務所 若干名

なお、上で挙げた企業の中には、技術系採用という枠の中で、開発と知財の区別をせずに採用するケースがあります。(つまり、エントリーの際に知財職を指定できない)

この場合、入社後の配属で、開発もしくは知財に振り分けられることになります。

希望通りに知財に配属してくれるかが不明ですが、受けてみる価値はあるでしょう。
(何せ、選択肢が少ないですからね・・・)





 就活生が知っておきたい知財部のこと

知財の仕事のイメージ

私自身もそうでしたが、ほとんどの就活生の方は、会社で仕事するという具体的なイメージが持てないんじゃないかと思います。

ましてや、知財というマイナーな職種であればなおさらでしょう。

 

知財部のことをよく知らずに応募してしまうと、ミスマッチということにもなりかねません。

ここでは、新卒で知財部を目指す就活生の方に、知っておいてほしい情報をまとめます。

知財部ではどんな仕事をやる?

まず、企業の知財部ではどんな業務を扱っているのでしょうか?

企業によって差はあると思いますが、大体以下のようなことをやっています。

知財部の仕事
  • 発明の発掘
  • 特許明細書の作成
  • 拒絶理由通知対応
  • 出願や権利維持のための事務手続き
  • 他社からの特許侵害警告や訴訟への対応
  • 知財のライセンス契約
  • 他社特許の調査、分析
  • 他社製品が自社特許を侵害していないかの監視、分析
  • 意匠・商標の出願、権利化
  • ブランド管理
  • 会社としての知財への取り組み方針の策定(かっこ良く言えば知財戦略を考える)

 

で、上記のうち、新卒で知財部に入った方のほとんどは、特許権利化に関する業務(発明発掘、特許明細書の作成、拒絶理由通知対応)を担当することになると思います。

私も新卒で知財部に入ったときは、ある製品の特許権利化を行う部署に配属されました。

やはり、特許権利化業務は知財部の中でも主要業務になりますので、担当する人数も多いです。

 

あと、少数ですが、特許侵害警告や訴訟対応を行う部署に配属される新卒の方もいます。

こちらは、法学部など、文系出身の方になると思います。

 

なお、企業知財部の仕事内容については下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

私が大企業の知財部員だったころの一日のスケジュールも公開しています(笑)

企業知財部のイメージ知財部の仕事内容は?|ある担当者の一日を紹介します〜

工学部出身でなくても入れる?

私が新卒採用で一番気がかりだったのが、

自分の学部からでも知財部には入れるのか?

ということでした。

 

当時、私は薬学研究科の院生で、電機メーカーの知財部を受けても門前払いされるだけではないかと悩んでいました。

しかし、結果的には、某電機メーカーの知財採用で内定をもらうことができました。

 

たしかに、知財部に入ってくる新卒の方は、工学部や理学部出身が多いですが、研究職ほど細かい専攻は見られないという印象です。

大まかに、

  • 文系 or  理系
  • 理系なら、機械系、情報系、化学・バイオ系のいずれか

で大まかに区分けされるので、どこかに引っかかればいい感じです。

 

結論、自分の出身学部や専攻は気にせず、とりあえず受けてみれば良い、と思います!

 

なお、私の体感だと、理系の知財職の新卒だと、7割くらいは修士卒ですね。

学部卒でも採用はされますが、全体に占める割合としては低くなりますね。

知財部の雰囲気的なこと

実際に企業の知財部に入ってみると、そこは一体どんなところなのか?

もっと雰囲気的なことを知りたい!という方も多いかと。

 

過去に、知財部志望の就活生の方から質問を受けたことがあり、そのQ&Aを別記事でまとめています。

一例を挙げると、

  • 知財部でも地方に配属されるのか?
  • 知財部の人はどんなキャリアパスを考えているのか?
  • 職場環境の良いところは?
  • 弁理士資格の取得は応援してくれるの?

などですね。

おそらく、就活生の方が気になっている疑問点はそれなりに網羅されていると思うので、ぜひ、こちらも読んでみてください!

Q&Aのイメージ大企業の知財部ってどんなところ?就活生の質問に答えます!

あなたは知財の仕事に向いてる?

知財の仕事はわりと独特で、それなりに向き不向きがあると思います。

では、どんな人であれば知財の仕事に向いているのか?

 

私としては、以下の資質がある人は知財部向きだと思います。

知財部向きの人
  1. 論理的である
  2. 理解力が高い
  3. 文章大好き
  4. 人並みにコミュニケーションできる

どんな人が知財部員に向いているのかについて、詳しくは下記の記事を参照してみてください!

資質のイメージ知財部に向いている人は?成果を出すための4つの資質

新卒採用の面接

就活の中でも山場となるのが、採用面接です。

知財職でエントリーした場合、採用面接では面接官からどんな質問をされるのでしょうか?

 

基本的には、研究・開発職の新卒採用と似たようなかんじの質問をされるのですが、違いもあります。

特によく聞かれるのは、「何故知財の仕事をしたいと思ったのか?」についてですね。

やはり、知財の仕事はマイナーなので、研究・開発ではなく何故あえて知財を選んだのかは、面接官としても関心があるところです。

知財部への志望動機は必ずよく整理しておきましょう。

 

あと、大学(院)での研究テーマについても聞かれることがありますね。

これは研究・開発職の面接でも聞かれる質問ですが、知財職の場合、ちょっと違った観点から問われているので要注意です。

 

知財部の面接や志望動機の考え方について、下記の記事で書いたので参考にしてみてください!

知財部の採用のイメージ知的財産部への志望動機は面接に必須!|具体的な文案もご紹介

まとめ

以上、新卒で知財部に入るためには、どんな企業を受ければよいかについて紹介しました。

上で述べたようにかなりルートが限られているので、本当に知財に興味があるのであれば、あまり自分の専攻は気にせずエントリーしてみた方が良いと思います。

 

言うまでもないですが、実際に就活するときは、ご自身で企業の募集要項をしっかり確認して下さいね!

 

最後に、上で紹介した関連記事を再掲しますので、こちらもぜひご参考に!