最近、古い米国特許を調べる機会があり、ふと存続期間が気になりました。
たしか、米国の場合、昔の特許の存続期間は単純に出願から20年ではないというのが頭にあったのですが・・・。
あと、米国特許では、ターミナルディスクレーマーやPTAといった要素も特許の存続期間に影響を与えるため、日本特許に比べてかなり複雑です。
というわけで、この記事では、米国特許の存続期間について調べたことをまとめます。
本記事の内容
米国特許の存続期間は20年じゃない?
基本的に、特許の存続期間は出願日から20年というのが一般的ですが、実は必ずしもそうとは言えない場合があります。
米国特許の存続期間は、その米国出願が1995年6月8日以降か、それよりも前かで考え方が分かれます。
出願日が1995年6月8日以降である場合
出願日が1995年6月8日以降である米国特許は、日本と同じく、原則出願日から20年が特許権の存続期間になります(USC154(a)(2))。
1995年6月8日時点で有効な特許権、又は1995年6月8日より前に出願された特許出願
出願日が1995年6月8日より前である米国特許は、下記のうちいずれか遅く終了する期間までが存続期間となります(USC154(c)(1))。
- 出願日から20年
- 特許付与日から17年
なお、継続出願や分割出願については、たとえ親出願が1995年6月8日より前に出願されたものであっても、継続出願や分割出願が1995年6月8日以降に出願されたものである場合には、存続期間は親出願の出願日から20年となります。
ひとまず、「1995年6月8日より前の出願には注意!」ということで覚えておけば良いですね。
米国特許の存続期間に影響を与える要素
その他、米国特許の権利期間が左右される場合について挙げておきます。
- 審査遅延などの理由で特許発行が遅れた場合(USC154(B))
- ダブルパテントを回避するために、ターミナルディスクレーマーを行った場合(USC253)
- 医薬品等の許認可によって(USC156)
なお、上記のうち、審査遅延などの理由で特許権の存続期間を調整することをPTA (Patent Term Adjustment)といいます。
このPTAについての考え方や調べ方については、下記の記事が参考になります。