知財部に転職するためにはどうすれば良いか?

公開日: : 最終更新日:2018/06/20 知財の仕事・キャリア

知財系の仕事は専門職ということもあり、知財業界はわりと転職が盛んな業界です。

そして、知財系の求人うちのかなり部分を、企業の知財部門が占めます。

本稿では、知財部への転職にフォーカスして、必要となる経験や実際の転職プロセスで考慮するべきポイントについて解説します!

 

知財部に転職するために必要な経験

まず前提条件として、企業の知財部に転職するためには、どのような経験が求められるのでしょうか?

 

知財業務の経験は必須

転職者の採用となると、企業側はある程度即戦力になる人材を求めていますので、まず知財業務の経験者であることは必須です。

特に、すでに企業で知財業務の経験がある人や特許事務所で特許出願や中間処理をバリバリこなしている人は、企業からの需要が高いでしょう。

 

さらに、応募するポジションに対応するような業務経験が必要となります。

例えば、特許出願をメインで担当するポジションであれば、特許出願業務の経験があることが望ましいですし、商標を担当するポジションであれば、商標に関する業務の経験があることが望ましいです。

 

特許権利化業務

巷の知財部の求人情報を見ると、感覚として7割以上は特許権利化業務の求人ですので、特許権利化を担当するポジションについて詳しく説明します。

特許権利化を担当するポジションにおいては、単に権利化業務の経験があるだけでなく、強みのある技術分野がマッチしていることも重要なポイントです。

特許権利化業務においては、発明の内容を理解することが求められるため、担当する技術分野について一定以上の知識を持っていることが望ましいためです。

 

知財業界では、技術分野を大きく、化学系、機械系、ソフトウェア系の3つに分けて考えます。

従って、化学系の権利化を担当するポジションであれば、化学系の経験があることが望ましいですし、ソフトウェア系のポジションであれば、ソフトウェアの経験があることが望ましいです。

 

経験としては、その技術分野での特許権利化業務を担当していることが望ましいですが、その経験が無くても、例えば、開発者としてその技術分野での開発業務に関わったとか、大学の専攻でその技術分野を勉強したとかでも良いと思います。

 

なお、経験のある技術分野が求人とは異なっていたとしても、全く可能性が無いわけではありませんが、そこをどう判断するかは企業の考え方次第かなという気はします。

 

知財業務未経験でも転職できるか?

上記で述べたように、企業の知財部に転職するためには、知財業務の経験があることが求められます。

では、知財業務未経験の人が企業の知財部に転職したい場合はどうでしょうか?

 

正直、知財業務を経験したことがない人が企業の知財部に転職したという話はあまり聞いたことがなく、かなり難易度が高いと思います。

まずは、今いる会社の中で知財部に異動するとか、開発部門でリエゾン業務(発明発掘を行う仕事)を担当するなど、転職しなくても知財業務に関わることができないかを検討しましょう。

あるいは、技術的な知識がある方であれば、特許技術者として特許事務所に入って、一定の経験を積んだ後に、知財部に転職するというキャリアパスもあるかと思います。

 

一方で、あえて未経験でも知財部への転職にチャレンジするのであれば、成功するかどうかは、いかに知財担当者としてのポテンシャルを示せるかということに尽きると思います。

例えば、開発の経験があり技術知識に長けているとか、すでに弁理士資格を取得しているとかであれば、一定以上のポテンシャルを示すことができるでしょう。

また、20代前半くらいの若い人であれば、第2新卒という位置付けで採用される可能性もあると思います。
(要は、若さ=ポテンシャル)

 

職務経歴書を作成する

さて、ここからは転職活動のプロセスにおいて、どのような点に注意するべきかを見ていきましょう。

 

まず、転職活動において重要なのは、企業の採用担当者に提出する履歴書、職務経歴書を準備することです!

特に職務経歴書は、応募者の経験や能力を判断するための資料として、採用担当者が1番重視する資料となります。

書類選考を突破して面接に行き着くために、職務経歴書は気合を入れて作成しましょう。

その際には以下の点に注意します。

 

自分の職歴、実績、知財スキルを棚卸しする

職務経歴書の一般的なフォーマットとしては、自分のこれまでの職歴を時系列に沿って記載し、その後に特に自分がアピールしたい実績やスキル、それを裏付けるエピソードなどを記載します。

今まで自分がしてきた仕事を振り返って、アピールできそうなポイントを丁寧に書き出していきましょう。

 

ここで、
「自分には目立った実績なんて無いし、何をアピールしたらいいんだろう・・・」
と、途方に暮れる人もいるのではないでしょうか?
(かく言う私もそんな経験があります)

 

しかし、たとえ目立った実績が無くても、日常業務で何気なく行っている工夫などがきっとあるはずです。

例えば、開発者から発明を引き出すためにこんな工夫をしてますとか、より良い権利範囲で特許を取るためにこういう所にこだわっていますとか、日常業務を効率化するためにこういう提案をしましたとか・・・。

 

上記のようなことを突き詰めて考えるのは非常に苦しい作業です。

しかし、書類を書くときにしっかり悩んで自分の実績を言語化できれば、後の面接で間違いなく役に立つので、がんばりましょう!

 

応募する企業の求人情報を踏まえて微修正する

上記で作成した職務経歴書を色んな企業に使い回しても良いですが、よりベターなのは、応募先の企業に合わせて職務経歴書でアピールする内容を調整することです。

応募する企業の情報をできるだけ収集し、その企業がどのような状況にあるのか、どんな人物を求めているのかを考えましょう。

最低でも、応募しようとしているポジションの募集要項(求人票)は熟読し、求められているスキルや経歴にちゃんとマッチするように職務経歴書をカスタマイズしていきます。

 

例えば、ある企業の求人票ではある製品の特許権利化を担当するという内容、別の企業の求人票では特許権利化含めた知財業務全般を担当するという内容であったとします。

前者に対しては、特許権利化の経験や技術への理解度を深めに記載した職務経歴書を用意するべきですし、後者に対しては、特許権利化を含め、それ以外の業務経験も幅広く記載して経験の広さをアピールするような職務経歴書を用意するべきです。

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面接の準備をする

応募先の企業に履歴書や職務経歴書を提出し、無事書類選考を通過すると、採用面接に進みます。

面接にあたっては、下記のことを準備しておきましょう。

 

企業の詳細な情報を収集する

まず、面接を受ける企業の情報を可能な限り収集しましょう。

企業の情報をしっかり把握することで、面接でより的確な受け答えができる可能性が高まりますし、その企業に入りたいという熱意を示すこともできます。

収集するべき情報としては以下のものが挙げられます。

  • 企業の基本情報: 事業内容、主力製品、会社の規模、所在地等
  • ポジションの詳細: どんな経歴の人物を求めているのか
  • 入社後に担当することになる業務内容
  • 特許出願件数や特許出願を行っている技術分野
  • その企業が当事者となった知財訴訟
  • その他、その企業の知財に関するニュース
  • 知財組織の構成:何人ぐらいいるのか、全体としてどんな業務がありそうか

 

一般的な質問事項に対する答えを考えておく

面接官から質問されるであろう、一般的な質問事項については、うまく答えられるように準備しておきましょう。

もちろん企業や担当する面接官によって聞かれる質問は様々ですが、そうは言っても共通して聞かれるポイントは大体決まっています。

最低限下記のような質問には、スムーズ且つ相手に納得感をもって伝えられるように準備しておきましょう。

  • これまでの経歴を簡単に説明してください
  • 今の会社ではどのような業務を担当されていますか?
  • なぜ転職しようと思ったのですか?
  • 転職活動ではどのような業界を中心に検討していますか?
  • なぜその業界を志望しているのですか?
  • 当社を志望される理由はなんですか?
  • 仮に当社に入社した場合には、どのような仕事をしたいですか?
  • 当社以外に選考が進んでいる企業はありますか?

 

提出した職務経歴書を再度確認する

通常、面接官は、事前に応募者が提出した職務経歴書などにしっかり目を通した上で面接に臨みます。

従って、面接では職務経歴書に記載された内容のうち、面接官が興味を引かれたポイントについて、つっこんで聞かれる可能性が高いです。

面接の前には、自分が提出した職務経歴書の内容改めて確認し、各記載項目についてより深い説明ができるようにしておきましょう。

 

ここで注意したいのが、会社によっては知財の専門家が面接官をするとは限らず、例えば、人事、法務、あるいは経営企画の人が面接官を担当する場合があります。
(特に知財組織の規模が小さい会社の場合)

その場合には、相手は知財の仕事に詳しくないという前提で、仕事内容や実績などをわかりやすく噛み砕いて伝える必要があります。

 

なお、面接については、新卒向けの記事ではありますが、こちらも参考にしてみてください。

知財部の面接で必ず聞かれること 知財部への志望動機は必須!

 

退職、そして転職へ・・・

晴れて内定が決まったら、今いる会社の退職の準備を進めることになります。

内定が出て、転職する決意が固まった段階で、速やかに今いる会社に退職する旨を伝えましょう。

 

大体の企業においては、引き継ぎのために、辞めたいといってもすぐに辞めさせてもらえるわけではなく、場合によっては後任の担当者を探してこなければならない可能性もあります。

退職する意思を素早く会社に伝えて、業務の引き継ぎ等を可能な限り早くスタートさせましょう。

 

一方で、内定が決まったからといって、引き継ぎをちゃんとやらなかったり、職場での人間関係を悪化させて退職するのも良くありません。

知財業界は特に狭いので、意外なところで前職の人と仕事上の関係を持つこともままあります。

例えば、転職先の会社が前職の会社と取引があったり、共同で事業を始めたり、あるいは知財協などの業界団体で前職の人と一緒になったり・・・。

従って、もしも前職で悪評が立ってしまうと、回り回って転職先の会社での評判を傷つけることにもなりかねません。

それに、前職の同僚や知り合いは貴重な人脈になりますので、良好な人間関係を保ったまま退職できるようにがんばりましょう!

 

そんなわけで、長々と転職について書いてみました。

やはり、知財のキャリアパスを考える上では、企業知財部は外すことのできない選択肢だと思います。

本稿が、企業知財部への転職を考えている人に少しでも参考になれば幸いです。

 

なお、私が過去に転職する時に、企業選びに色々悩んだのですが、その時の体験は下記の記事に書いてあります。

転職時の企業選びで考えたこと

 

また、知財業界におけるキャリアパスについて関心のある方は、下記の記事もご参照下さい!

知財業界のキャリアプラン

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