転職や就職活動の場面で、一番重要且つ気が重いのが、面接です。
企業の知的財産部や特許事務所の採用面接では、面接官からどんなことが聞かれるのでしょうか?
実は、私の経験上、新卒時の就活や転職活動で必ず面接官に聞かれた質問があるんです!
それが、
- 「何故知財の仕事をしようと思ったのですか?」
- 「何故知財部を志望しているのですか?」
といった、知財の仕事への志望動機に関する質問です。
従って、面接にあたっては、こういった志望動機を自分の中で事前に整理しておく必要があります。
というわけで、この記事では、
知財の仕事に就きたいんだけど、志望動機はどうしよう?
と悩んでいる人に向けて、志望動機の考え方や文例をご紹介します!
また、後半では、志望動機の他に、知財の面接で聞かれやすい質問についても解説します。
ちなみに、これを書いている私は学生時代に弁理士資格を取り、新卒で企業の知財部に入って以来10年近く企業知財の仕事をしています。
転職経験もありますし、且つ私自身も企業で採用に関わったことがあるので、参考にして頂けると思います。
なぜ知財部への志望動機が聞かれるのか?
冒頭で述べたように、知財部の面接では、会社への志望動機に加えて、知財の仕事への志望動機も用意しておくべき!
私の経験でも、新卒の時はもちろん、転職での面接においても「何故知財の仕事を志したのか?」について聞かれました。
では、なんで知財部の採用面接において、知財部への志望動機がよく聞かれるのでしょうか?
おそらく、面接官が志望動機を聞く狙いは、大きく以下の2つがあると思います。
- 知財の仕事への理解度を知りたい
- 候補者の人となりを知りたい
知財の仕事への理解度を知りたい
知財の仕事というのは、なかなか外からは分かりづらいものがあります。
そのため、面接官は「この人は知財の仕事がどういうものか理解した上で応募してきているのかな?」という懸念を常に抱いていたりします。
候補者に志望動機を語ってもらえば、ある程度、候補者の知財の仕事への理解度を知ることができます。
ちなみに、昔私が就活で面接を受けた時に、
知財の仕事に必要だと思う能力を挙げて下さい。
みたいな質問を受けたことがありました。
これも、知財の仕事に必要な能力とその理由を挙げさせることで、知財の仕事をちゃんと理解しているかを確かめるための質問だったと思われます。
候補者の人となりを知りたい
転職の場面では、志望動機を尋ねることで「候補者の人となりを知りたい」という意図のほうが大きいかもしれません。
知財の仕事というのは、今でこそ多少知名度は上がったにしても、まだまだマイナーな職種です。
いや、世間一般の感覚からしたら、かなりマニアックな仕事です…。
そんな仕事にわざわざ就いたということは、その人なりの思いがあったわけですね。
候補者に志望動機を語ってもらうことで、
- その人がどういう考えでキャリアに向き合ってきたのか
- どういったものに動機付けられて動くのか
といった人柄が見えてきます。
知財部への志望動機のパターンと文例
知財の仕事を志す理由は人それぞれですが、知財の仕事の特性上、ある程度志望動機に代表的なパターンがあると思います。
ここでは、知財部への志望動機をパターン別に分け、それぞれ文例をご紹介します!
技術の最先端である発明を扱うことができる
特許の話になりますが、特許出願の仕事は、技術開発の最先端を扱うことになります。
色々な分野の先端技術を触れられるというのは、知財の仕事の面白さの一つなので、これが知財の仕事を志した理由になっている人もいるかと。
技術と法律の両方を扱うところがおもしろい
特許の仕事では、技術的な専門知識と法律知識を高いレベルで求められるということで、学際的な面白さがありますね。
実際、私自身が知財の仕事に興味をひかれた理由も、この技術×法律というところに面白さを感じたからだったりします。
企業活動に戦略面からサポートできる
知財は戦略的な要素が強いです。
例えば、他社と特許のクロスライセンス契約を結ぶことで、自社が使える技術の自由度を確保する、みたいな話ですね。
企業を戦略面からサポートできる、というのも、知財の仕事に興味をひかれたきっかけになっている人もいるのではないでしょうか。
自分のエピソードを交えて肉付けする
上記のような理由は、知財の志望動機としては一般的なもので、これだけだと何の面白みもありません。
これを核として、自身のエピソードを交えて語ると説得力が増します。
例えば、
- 自分が所属していた研究室で特許出願をすることになり、それがきっかけで知財の仕事を知った
- アップルとサムスンの特許訴訟についてのニュース記事を読んで、知財がいかに会社に大きなインパクトを与えるかを実感した
- 知り合いが弁理士をやっているが、すごく専門知識をもっていて、自分もああいう風になりたいと思った
みたいな、自分自身が体験したことをベースにすると、オリジナリティが出てきます。
ご参考までに、私の経験を基に、肉付けした志望動機の例を挙げておきます。
知財の仕事(特許業務)は、発明を理解するための技術的な知識が必要だということで、これまで勉強してきた理系の知識が活かせますし、技術的な専門知識と知的財産の法的な知識の両方が求められる点が非常にチャレンジングで、私もぜひ知財の仕事をしてみたいと思うようになりました。
くどいですが、上記はあくまで考えを整理するための参考例です。志望動機は自分で考えるようにしましょう。
借り物のエピソードを語っても、嘘くさく聞こえて、人の心に響きませんよ!
なお、知財部への志望動機を考えるには、知財部の仕事をある程度クリアにイメージしておくことが不可欠です。
知財部でどんな仕事しているのかについては、「知財部の仕事内容って? ある知財担当者の一日の仕事を紹介します」という記事で詳しく書いているので、こちらも参考にしてみてください。

志望動機の他に面接で聞かれそうな質問
おまけで、志望動機の他に面接で聞かれそうな質問についてもざっと挙げておきます。
なぜ当社を志望しているのですか?
会社への志望動機はベタですが、必ず聞かれる質問です。
これにちゃんと答えられるようにしとくのは、礼儀みたいなものですね。
前提として、会社のWebサイトはもちろん、それ以外も可能な限り情報収集しておきましょう。
会社のどういう事業分野に興味があるか?(担当したいか?)
その会社のどういう事業分野に興味があるか?(担当したいか?)というのも、比較的聞かれる質問です。
といっても100%自分の好みを答えるのではなく、会社の主力事業や注力事業を答えるのが無難です。
転職しようと思った理由は何ですか?
これも転職活動をやっていると、必ずと言っていいほど聞かれます。
転職活動をしてるくらいだから、現職に不満がある場合がほとんどだと思いますが(笑)、できるだけポジティブな理由に言い換えましょう!
(例)仕事がつまらない→もっと幅広い業務に挑戦したい
どういった会社(業界)を中心に転職活動してますか?
転職活動の一貫性を確認するための質問。
自分の中で、どういった軸で企業や業界を選んでいるのかは、整理しておきましょう。
研究室でどんな研究をしてましたか?
これは、主に新卒や第2新卒の採用面接の話になりますが、「大学(院)では、どんな研究をしていましたか?」というのも聞かれたりします。
知財部の採用面接を受ける人は理系の人が多いので、こういう質問が来るわけですね。
この質問で注意したいのは、面接官が興味が有るのはあなたの研究テーマではなく、難しい技術を前提知識の無い人にいかに分かりやすく伝えられるか?ということです。
従って、知財職に応募しているのに、自分の研究テーマの深い話を長々と熱く語ってしまうと、「何で研究職に応募しないんだろう?」と面接官に思われてしまうので、注意!
面接は事前準備が大事
知財に限らずですが、面接には事前準備が大事です。
企業の詳細な情報を収集する
面接を受ける企業の情報は、事前に可能な限り収集しておきましょう。
企業の情報をしっかり把握することで、面接でより的確な受け答えができる可能性が高まりますし、その企業に入りたいという熱意を示すこともできます。
収集するべき情報としては以下のものが挙げられます。
- 企業の基本情報: 事業内容、主力製品、会社の規模、所在地等
- ポジションの詳細: どんな経歴の人物を求めているのか
- 入社後に担当することになる業務内容
- 特許出願件数や特許出願を行っている技術分野
- その企業が当事者となった知財訴訟
- その他、その企業の知財に関するニュース
- 知財組織の構成:何人ぐらいいるのか、全体としてどんな業務がありそうか
一般的な質問事項に対する答えを考えておく
あと、面接官から質問されるであろう、一般的な質問事項については、うまく答えられるように準備しておきましょう。
もちろん企業や担当する面接官によって聞かれる質問は様々ですが、そうは言っても共通して聞かれるポイントは大体決まっています。
最低限下記のような質問には、スムーズ且つ相手に納得感をもって伝えられるように準備しておきましょう。
- これまでの経歴を簡単に説明してください
- 今の会社ではどのような業務を担当されていますか?
- なぜ転職しようと思ったのですか?
- 転職活動ではどのような業界を中心に検討していますか?
- なぜその業界を志望しているのですか?
- 当社を志望される理由はなんですか?
- 仮に当社に入社した場合には、どのような仕事をしたいですか?
- 当社以外に選考が進んでいる企業はありますか?
なお、会社によっては知財の専門家が面接官をするとは限らず、例えば、人事、法務、あるいは経営企画の人が面接官を担当する場合があります。
(特に知財組織の規模が小さい会社の場合)
その場合には、相手は知財の仕事に詳しくないという前提で、仕事内容や実績などをわかりやすく噛み砕いて伝える必要があります。
面接前に提出した職務経歴書を再度確認する
通常、面接官は、事前に応募者が提出した職務経歴書などにしっかり目を通した上で面接に臨みます。
従って、面接では職務経歴書に記載された内容のうち、面接官が興味を引かれたポイントについて、つっこんで聞かれる可能性が高いです。
というわけで、職務経歴書の内容は書類選考を通過するためだけでなく、その後の面接の場面でも重要になるのです!
面接の前には、自分が提出した職務経歴書の内容改めて確認し、各記載項目についてより深い説明ができるようにしておきましょう。
なお、知財の職務経歴書の書き方については、「知的財産の職務経歴書にはこれを書け!【実物を公開します】」で詳しく解説しています。
私が転職活動の際に実際に使った履歴書・職務経歴書もお見せしているので、ぜひご参考に!

まとめ
そんなわけで、知財の志望動機について色々書いてみました。
まとめると、
- 面接官が知財の仕事への志望動機を尋ねる意図は、知財の仕事への理解度と候補者の人となりを知りたいから
- 代表的な志望動機としては、先端技術に触れられる、技術と法律の両方を扱う、戦略的な仕事ができる、が挙げられる
- 志望動機は自分自身のエピソードを交えて語ると説得力が増すよ
という話でした。
なお、上記は私なりの考えなので、実態と異なるところはあるかもしれません。
ただ、面接で知財への志望動機が頻繁に聞かれることは間違いないので、ぜひ考えを整理して頂ければと思います。
これから知財の仕事を志す人の参考になれば幸いです!
なお、知財の転職については「弁理士の転職ノウハウ総まとめ!|知っておくべき10のポイント」で詳しく書いているので、転職に興味がある方はこちらもどうぞ。
弁理士に限らず、知財の仕事で転職しようとしている方には参考にして頂ける内容となっています!

企業知財部への転職活動の進め方
もし企業知財部への転職を考えているのであれば、リクナビなどの大手転職エージェントを使うのが基本です。
知財部とは言え企業への転職なので、よく名前を聞くような大手の転職エージェントが知財部の求人案件を豊富に持っています。
私が実際に転職活動に使ったエージェントの中で、下記の2つをおすすめしておきます。
- マイナビエージェント
※20代〜30代の方におすすめ!応募企業への面接対策をしっかりやってくれます
- リクルートエージェント ※言わずと知れた業界最大手。求人案件が豊富でサポート体制がしっかりしています
私の場合、職務経歴書の添削や面接対策などでマイナビエージェントには特にお世話になりました。
担当者の方が企業の採用担当にヒアリングを行っており、
- 面接でこういうことが聞かれる
- 会社の状況を踏まえるとこういうことをアピールしたら良い
など、対策をしっかりやってくれました。
結果、マイナビに紹介してもらった会社に転職できました!
※私が実際に転職した企業を紹介してくれたエージェント。面接対策がしっかりしています
※登録無料。エージェントから費用請求されることはありません
転職に様子見な人はビズリーチがおすすめ
「転職に興味があるけど、実際に転職活動するかは悩んでいる」という人もいるでしょう。
そんな方におすすめなのが、スカウト型の転職サイトBIZREACH(ビズリーチ) に登録しておくことです。
BIZREACHは、企業の採用担当者が登録者の経歴を閲覧し、条件が合えばスカウトがかかるというシステム。
転職エージェントのように、担当者から頻繁に連絡が来たり、転職をすすめられることもないので、じっくりと良い求人がないか吟味できます。
実際、
それほど転職意欲は高くないけど、良い案件があれば転職を検討したい
という考えで、とりあえずBIZREACHに登録して様子を見ている人もかなりいます。
BIZREACHへの登録は無料なので、まずはこちらに登録することから始めてみましょう!
※無料で登録できます。
大手特許事務所で面接官をやった経験があります。
面接官側の狙いは、応募者の本音を聞き出すことです。
故に、私は「尊敬する人物はだれですか。また尊敬する理由を教えて下さい。」の質問をよくしていました。この質問を糸口にして雑談を発展させ、応募者をリラックスさせながら雑談の中に隠れている本音や本人の考え方や人となりを探り出します。
いっそのこと、ビールでも飲みながら面接するのが一番効果的ではないかと本気で考えました(笑)。
知財に必要な能力(才能)で一番重要なものは、「物事(考案された新技術等)の根底に流れる原理原則(技術思想等)を見抜く眼力」だと思います。この能力の基礎のなるものは「思考力」だと思います。
futureeyeさん
コメントありがとうございます!
>面接官側の狙いは、応募者の本音を聞き出すことです。
なるほど、興味深いです。
今のご時世だと、面接に来る人は色々対策してきているみたいなので、特に重要そうです。
知財で必要な能力、たしかにうなずけます。
知財で一流の人かそうでない人かを分けるのは思考力だという気がしています。