知的財産管理技能検定の難易度は?合格者が制度や勉強法を徹底解説!

試験のスケジュールのイメージ

知財関連の仕事をしていると、「知財検定」という言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?

 

知財検定は、正式名称は「知的財産管理技能士検定」で、れっきとした国家資格

企業によっては知財検定の受験を奨励しているところもあると聞きます。

 

私も過去に知的財産管理技能士検定2級と1級(特許専門業務)にそれぞれ挑戦し、見事合格!知的財産管理技能士1級の資格を取得しています。

 

この記事では、

知的財産管理技能検定に興味があるけど、難しい試験なの?

と疑問を持っている方に向けて、合格者の私が試験制度や難易度、さらに勉強をご紹介します!

知財検定(知的財産管理技能検定)ってどんな試験?

発明のイメージ

まず、知的財産管理技能検定(長いので、以下「知財検定」)の試験制度の概要を説明します。

 

知財検定は、ざっくり言うと、

知的財産(特許、意匠、商標、著作権など)に関する法律や実務の知識を問う試験

です。

1級、2級、3級に分かれている

知財検定は、1級〜3級に分かれており、難易度としては、

  • 3級: 初級
  • 2級: 中級
  • 1級: 上級

のようになっています。

なお、1級はさらに細分化されており、

  •  特許専門業務
  • コンテンツ専門業務
  • ブランド専門業務

の3つの専門分野に分かれています。

試験範囲

2級、3級試験では、

  • 特許
  • 実用新案
  • 意匠
  • 商標
  • 著作権
  • 不正競争防止法
  • 民法
  • その他(種苗法、弁理士法など)

に関する法律知識や、それらに関連した実務知識(例えば、調査、契約、係争対応、戦略など)に関する問題が出題されます。

詳しくは下記の公式サイトの資料を参照してください。

 

また、1級試験では、専門業務によって出題範囲が異なります。

例えば、特許専門業務では、

  • 国内の特許権利化
  • 契約(共同開発契約やライセンス契約など)
  • エンフォースメント(特許侵害訴訟など)
  • 知財戦略(IPランドスケープ、ポートフォリオマネジメント、オープン&クローズ戦略)
  • 米国など外国の特許実務
  • その他(知財評価、税関、独禁法など)

などの知識が問われます。

詳しくは下記の公式サイトの資料を参照してください。

試験方式

知財検定の2級試験、3級試験は、

  • 学科試験:マークシート択一式
  • 実技試験:記述方式

に分かれており、いずれも筆記試験です。

一方、1級試験は、

  • 学科試験:マークシート択一式
  • 実技試験:筆記試験と口頭試問

となっており、実技試験において口頭試問(面接のようなかたち)が行われます。

知財検定に受験資格はいるの?

知財検定の受験資格は、等級や学科or実技によって異なります。

以下に、主要な受験資格の条件を挙げておきます。(全部ではないので悪しからず・・・)

知財検定3級

受験資格なし

知財検定2級(学科・実技共通)
  • 知的財産に関する業務について2年以上の実務経験を有する者
  • 3級技能検定の合格者(ただし、合格日が前々年度まで)
  • ビジネス著作権検定上級の合格者(ただし、合格日が前々年度まで)
知財検定1級(学科試験)
  • 知的財産に関する業務について4年以上の実務経験を有する者
  • 2級技能検定の合格者(ただし、合格日が前々年度まで)で、知的財産に関する業務について1年以上の実務経験を有する者
  • 3級技能検定の合格者(ただし、合格日が前々年度まで)で、知的財産に関する業務について2年以上の実務経験を有する者
知財検定1級(実技試験、特許専門業務)
  • 1級技能検定(特許専門業務)学科試験の合格者(ただし、合格日が前々年度まで)
  • 一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務)
  • 一級知的財産管理技能士(ブランド専門業務)

詳細な受験資格については、下記をご参照ください。

受検資格(知的財産管理技能検定のオフィシャルサイト)

 

基本的に、3級以外は、知財の実務者を対象にしていることがうかがえますね。

試験日程や実施地区

知財検定は年に3回実施されています。(例年、3月、7月、11月に実施)

試験の実施地区は、東京をはじめ、全国各地の主要な県で行われます。

なお、1級の実技試験は東京のみで行われます。

スケジュールは以下をご確認ください。

年間実施予定(知的財産管理技能検定のオフィシャルサイト)



知財検定の難易度(合格率)は?

統計データのイメージ

1級〜3級の難易度はそれぞれどれくらいなのでしょうか?

知財検定の過去の統計データから、それぞれの難易度や合格率を解説します。

知財検定3級の難易度

3級の試験は、

  • 学科試験:マークシート択一式(30問を45分で解答)
  • 実技試験:記述方式(30問を45分で解答)

のそれぞれについて、満点の70%以上で合格となります。

 

知財検定3級の合格率の推移は以下の通り。

知財検定3級合格率

実施回によってばらつきがありますが、学科試験が60%ちょっと、実技試験が70%くらいです。

 

知財検定3級は、受験資格が不要であることからもわかるように、仕事で知財業務をしていない一般の方向けの試験です。

そのため、事前にテキストや問題集でしっかり勉強すれば、十分に合格可能な試験になっています。

知財検定2級の難易度

2級の試験は、

  • 学科試験:マークシート択一式(40問を60分で解答)
  • 実技試験:記述方式(40問を60分で解答)

のそれぞれについて、満点の80%以上で合格となります。

合格の基準が2級では8割と、3級よりも高くなっていますね。

 

知財検定の2級の合格率の推移は以下の通り。

知財検定2級合格率

学科試験も実技試験も、だいたい40%前後くらいの合格率になります。

 

知財検定2級の受験資格は、2年以上の実務経験者又は3級試験の合格者となっており、普段の仕事で知財業務をしている人を対象にしています。

なので、いくら知財の実務経験があっても、油断していると不合格になったりします。

実際、私も過去に受験したときに、あんまり勉強せずに試験を受けたら、合格点のぎりぎりだったという苦い経験があります(苦笑)

一方で、事前にテキストや問題集でしっかり勉強すれば、十分に合格可能な難易度です。

知財検定1級の難易度

知財検定は、1級から急激に難易度が高くなります。

1級の学科試験の合格率は、

  • 1級(特許)学科: 8.40%(2018年11月実施)
  • 1級(ブランド)学科: 5.22%(2019年3月実施)
  • 1級(コンテンツ)学科: 9.23%(2018年7月実施)

と、どの専門科目も学科試験は合格率が1桁%・・・。

 

一方、1級の実技試験の合格率は、

  • 1級(特許)実技: 95.35%(2019年3月実施)
  • 1級(ブランド)実技: 36.67%(2018年7月実施)
  • 1級(コンテンツ)実技: 72.97%(2018年11月実施)

となっており、合格率はかなり高いです。

ただし、これには裏があって、そもそも実技試験は学科試験に合格しないと受験できないため、1級の学科試験を突破した猛者たちが受験するのでこの数字です。

やはり、実技試験も難しい試験であることにはかわりありません。

知財検定1級と弁理士はどっちの難易度が高い?

上で書いたように、知財検定の1級はかなり難易度が高い試験ですが、知財検定1級と弁理士とではどちらが難しいのでしょうか?

 

結論から言うと、実態面を考慮するとやはり弁理士のほうが難しいと言えそうです。

合格率からするとどちらも同じくらいですが、受験者の本気度が違うんですよね。

知財検定1級は知財実務に腕の覚えがある人が「とりあえず受けてみっか」みたいなノリで受験するのに対し、弁理士は予備校で何年も勉強したガチの受験者がほとんどです。

知的財産管理技能士と弁理士がどう違うのかは、「弁理士と知的財産管理技能士の違い【似て非なるものです】」という記事で詳細に比較してますので、興味がある方はこちらをご参照ください。

弁理士と知的財産管理技能士のイメージ 弁理士と知的財産管理技能士の違い【似て非なるものです】



知的財産管理技能検定の勉強法は?

知財検定の勉強のイメージ

知財検定の勉強はどのように進めたらいいのでしょうか?

ここでは、私の過去の受験経験から、知財検定の勉強法のポイントをざっと述べます。

知的財産管理技能検定2級と3級の勉強法→基本はテキスト&問題集で独学

基本的に、知財検定3級と2級は、難易度こそ微妙に違うものの、試験の形式や出題範囲はほぼ同じです。

そのため、勉強法も同じような進め方になります。

2級・3級試験の対策としては、基本的には、

市販のテキストと問題集を地道にやっていく

が王道です。

基本的には独学で十分対応できます。

 

まずはテキストにざっと目を通したあと、問題集をやって知識が身についているかチェックしていきます。

ただ、ある程度知財業務に知見がある人は、いきなり問題集からやってもいいと思います。(私も知財の実務経験があったので問題集から入りました)

その上で、知識が抜けているところがあれば、テキストを見直すという進め方をすれば、時間が節約できます。

特許・著作権の対策を手厚くする

基本的な勉強法は上記の通りなのですが、1つポイントを挙げるとすると、出題比率が大きい特許と著作権は手厚くやったほうが良いです。

過去のデータだと、特許と著作権の問題が全体の約6割を占めます。

特に著作権は、法律が複雑だし、実務で扱わない人が多いので、鬼門だと思っています。

私も著作権の問題でかなりミスをしました。

特に、普段特許実務を中心にやっている人は、著作権の対策に時間を割くようにすると良いと思います。

知財検定3級のおすすめのテキスト・問題集

知財検定向けのテキストや問題集は色々ありますが、下記がおすすめです。

★知財検定3級テキスト

知財検定3級のテキストでおすすめなのが知的財産管理技能検定(R) 3級スピードテキストです。

資格試験でお馴染みのTACが出版しているテキスト。

挿絵が豊富で、3級試験に必要な知識が見開きでコンパクトにまとまっており、3級試験を受ける方におすすめです。

>> 「知的財産管理技能検定(R) 3級スピードテキスト」の商品ページ

 

★知財検定3級問題集

上で紹介したスピードテキストの問題集です。

解説が平易に書かれており、テキストと対応しやすいのでおすすめです。

学科試験と実技試験で問題集が2冊に分かれていますので、両方の試験を一気に受験する場合は、2冊とも揃えて対策しましょう!

知財検定2級のおすすめのテキスト・問題集

★知財検定2級テキスト

知財検定2級のテキストとしておすすめなのが、知的財産管理技能検定2級 完全マスターシリーズです。

アップロードという聞き慣れないところから出版されていますが、実は、アップロードは長年知財検定向けのテキスト・問題集を出し続けている、この分野では老舗の会社だったりします。

独自に知財検定の対策講座をやったりもしてますね。

 

完全マスターシリーズは3冊に分かれていて、市販の2級試験向けのテキストの中では、間違いなく内容が1番充実しています

やはり、2級試験は知財の実務者向けであるため、それなりにマニアックな問題も出題されます。

内容が詳しいので、日々の知財実務でも使えたりするので、知財の実務者にはこちらをおすすめしておきます。

 

★知財検定2級問題集

知財検定2級の問題集は、知的財産管理技能検定2級 厳選過去問題集がおすすめです。

上で紹介した完全マスターシリーズの問題集で、アップロードから出版されています。

 

試験本番までにあまり時間がない人は、とりあえずこちらの問題集を完璧にしておけば、合格ラインにはいけると思います。

>> 「知的財産管理技能検定2級 厳選過去問題集」の商品ページ

独学で合格できるまでの期間は?

上記のように、知財検定2級と3級は独学で十分合格できる試験です。

では、どれくらいの期間かかるのでしょうか?

 

当然ながら、もともとの知財の実務知識がどれくらいあるかによって、合格に必要な勉強時間は変わってくるわけですが、あくまで目安だと以下のとおりです。

知財検定3級
  • 準備期間としては数週間〜1ヶ月程度
  • 勉強時間としては、50〜100時間
知財検定2級
  • 準備期間としては2〜3ヶ月程度
  • 勉強時間としては、100〜200時間

3級試験は、比較的広く浅くの問題が多いので、知的財産にあまり馴染みがない方でも、試験の1ヶ月前くらいからコツコツ勉強していれば合格できると思います。

一方、2級試験は実務者を対象にしていることもあって、難易度が上がるので、3ヶ月前くらいから勉強を始めるのが良いと思います。

 

ちなみに私の場合は、2級試験を受ける際に、試験の約1ヶ月前から勉強を始めました。

トータルで要した勉強時間としては、100時間弱くらいだと思います。

前提として、私の場合、知財検定2級を受ける前に弁理士試験に合格していたため、受験前から、知的財産についての法律的な知識はひと通りあるという状態でした。

しかも、合格点のぎりぎりだったので、もうちょっと勉強時間に余裕を持って対策することをおすすめします。

オンラインの対策講座

なお、知財検定は独学で勉強する人がほとんどですが、短期で資格を取りたい方はオンライン講座を受けるという選択肢もあります。

知的財産管理技能士2級のオンラインの対策講座は、弁理士試験でもおなじみのLECとオンライン特化の資格予備校のSTUDYing(スタディング)があります。

 

とくに、STUDYingは、知財検定の対策講座の受講料が¥18,500(税別)と、LECの講座の半額以下!

比較的安価に試験対策ができますし、オンライン動画はマルチデバイスに対応しているので、時間や場所の制約を受けずに勉強できるのもメリットです。

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知的財産管理技能検定1級(特許)の勉強法

知財検定1級になると、特許、商標、著作権に細分化されます。

そのため、2級・3級とは勉強方法がかなり異なってきます。

 

私は特許専門業務しか受けたことがないので、特許について書きますが、1級試験の勉強でまず求められるのは、教材探しです。

というのも、知財検定1級については、市販の教科書や問題集がかなり限られているため、出題範囲や過去問を見ながら、勉強に必要な教材を自分で探してくる必要があります。

 

1級試験の勉強法やどういった教材を勉強したらよいかについては、「知財検定1級(特許専門業務)を目指す!教材集めが合格のカギ」で詳しく書いているので、こちらをご参照ください!

知財検定1級の受験生のイメージ 知財検定1級(特許専門業務)を目指す!教材集めが合格のカギ

知的財産管理技能士になるメリットは?

キャリアのイメージ

試験に合格すると、知的財産管理技能士になることができます。

では、知的財産管理技能士になるとどういったメリットがあるのでしょうか?

私としては、以下の3つのメリットがあると思います。

  • 知財の仕事をするきっかけになる
  • 昇進や転職で有利になる
  • 知財実務の自己研鑚になる

知財の仕事をするきっかけになる

未経験だけどこれから知財の仕事に就きたいと考えている人が、知的財産管理技能士の資格を持っておくのは良いと思います。

知財管理技能士は比較的受験のハードルが低いですし、知財実務に必要な知識もざっと網羅できるので、そういったきっかけに適しています。

特に、知財管理技能士2級の資格があれば、知財全般について一定以上の知識があることの証明になりますので、知財の仕事につきやすくなるでしょう。

昇進や転職で有利になる

正直、弁理士ほどのインパクトはないのですが、知的財産管理技能士の資格があれば、昇進や転職の場面で有利になる可能性があります。

まず、2級の資格があれば、知財実務全般の基本知識が備わっていることの証明になります。

 

また、知的財産管理技能士1級があれば、知財の専門職として評価されるでしょう。

知財実務を何年もやっている人でも合格するのが難しい試験なので、1級が取れれば実務能力の証明になります。

知財実務の自己研鑽になる

試験を通じて、知財実務能力の自己研鑽になるというのも大きなポイントです。

特に1級試験になると、出願実務だけでなく、契約、外国の法律など、幅広い知識を身につける必要があります。

普段の業務ではあまり扱わない分野の勉強をすることになるので、確実に実務知識の幅が広がります。

もちろん、今現在の実務の分野であっても、勉強によって知識がより確かなものになり、日常の業務にも活かされます。

 

このように、試験勉強を通じて色んな知識を身につけるといった自己啓発的な使い方もできますね。

まとめ

というわけで、知財検定についてまとめると、

  • 知的財産管理技能検定は1級から3級まであり、難易度が異なる
  • 学科試験と実技試験に分かれる
  • 3級試験の合格率は、学科試験が60、実技試験が70%くらい
  • 2級試験の合格率は、学科試験・実技試験ともに40%前後
  • 1級試験の合格率は、学科試験は1桁%とかなり難しい
  • 知財検定2級・3級はテキスト&問題集を独学でOK

というお話でした。

知財管理技能士は比較的手軽に受験できる資格ですし、勉強の過程で確実に知財の実務的な知識が身につきますので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?!

おすすめのテキストと問題集を再掲しますので、ここから始めてみてください!

★知財検定3級テキスト

>> 「知的財産管理技能検定(R) 3級スピードテキスト」の商品ページ

★知財検定3級問題集

★知財検定2級テキスト

★知財検定2級問題集

>> 「知的財産管理技能検定2級 厳選過去問題集」の商品ページ

 

なお、知的財産管理技能士2級の勉強法については、「知的財産管理技能士2級の勉強法|テキストや受験体験も紹介します」という記事で詳しく解説していますので、こちらもあわせてご参考に!

2級試験の勉強のイメージ 知的財産管理技能検定2級の勉強法|テキストや受験体験も紹介します

 

また、最上位資格である、知的財産管理技能士1級(特許業務専門)の勉強法については、「知財検定1級(特許専門業務)を目指す!教材集めが合格のカギ」という記事で書いています。

知財検定1級の受験生のイメージ 知財検定1級(特許専門業務)を目指す!教材集めが合格のカギ