文系弁理士の需要はある?気になる就職事情は?

研究職の本のイメージ

弁理士は理系の資格として知られており、実際、弁理士のほとんどが理系出身です。

しかしながら、文系弁理士も一定数おり、主に商標などの業務分野を扱う方が多いです。

私のまわりでも、文系出身の弁理士で活躍している方を結構見かけますね。

 

この記事では文系の弁理士に需要や、文系ならではの強みの活かし方について書きたいと思います!

 

ちなみに、これを書いている私は学生時代に弁理士資格を取り、新卒で企業の知財部に入って以来10年近く知財の仕事をしています。

まわりに弁理士の知り合いも多いので、参考にして頂けると思います。

文系弁理士の需要と就職事情

疑問のイメージ

文系の弁理士はマイナーな存在と言われますが、いったいどの程度いるのでしょうか?

また、文系弁理士の就職事情はどうなっているのでしょうか?

弁理士の約2割は文系出身

以下の弁理士試験の統計データによれば、弁理士試験合格者のうち約8割が理系、2割弱が文系となっています。

弁理士合格者_理系文系比率
弁理士試験統計を元に当ブログで作成

 

この比率はそのまま弁理士の文系・理系比率と同等であると言えるので、

弁理士の約2割が文系出身者

であるということが言えますね。

 

なぜ、これほどまでに理系出身の弁理士が多く、文系の弁理士は少ないのでしょうか?

その理由としては、弁理士の仕事のうち最もボリュームが大きい特許の仕事において、理系的な知識が要求されるためです。

特許の仕事では、発明という技術内容を理解して特許明細書を作成することがメインとなるので、発明を理解するための背景知識がどうしても必要になるわけです。

そのあたりの話は下記の記事に詳しく書いています。

研究員のイメージ弁理士は理系出身者が8割なのはなぜ?【大学生の僕が目指した理由】

 

というわけで、弁理士全体の中で文系弁理士は約2割と、そこそこマイナーな存在であると言えますね。

文系弁理士の需要はあるの?

そんな文系弁理士の需要はあるのでしょうか?

結論から言うと、文系弁理士は、理系弁理士よりも年収面、就職面で若干厳しくなる傾向です。

 

例えば、特許事務所に勤務する文系弁理士の年収水準は以下のようです。

事務所勤務の弁理士の年収
  • 見習い:〜400万円
  • ジュニア:400〜600万円
  • シニア:600〜800万円
  • マネージャー:800万円〜

これは、理系(特許系)の弁理士と比べると、100万円程度低い水準となっています。

(弁理士の年収について詳しくはこちらの記事を参照)

 

また、特許事務所などの求人を見ても、商標や意匠系の弁理士の募集はそれほど多くありません。

件数としては、特許系の求人の1, 2割くらいです。

商標系の業務は、理系弁理士や弁護士が扱うケースも有り、こういった事情もあって募集が少ないのです。

競争が厳しいので、文系弁理士としてやっていくには、商標の実務経験にプラスして、語学力や営業力などがあった方が良いです。

 

なお、一般的に特許事務所の求人は、すでに知財業務の経験がある経験者を対象にしている場合が多いです。

文系出身で且つ知財業務未経験の場合は、新卒もしくは20代でないと、就職は難しいでしょう。

 

このように、文系で弁理士になろうとする場合、上記の状況であることは覚悟しておく必要があります。

文系だからこその強みを活かす

上述の通り、一般論としては、文系弁理士の年収面や就職面で不利になります。

しかし、文系弁理士ならではの強みをうまく生かすことで、理系弁理士に劣らない活躍をすることも可能です。

 

例えば、私のイメージで恐縮ですが、理系よりも文系の人の方がコミニケーション能力に優れています。

大学時代のことを思い出してほしいのですが、

  • 文系→ ゼミとかで男女楽しくワイワイやってる。見た目もあか抜けている
  • 理系→ 研究室にこもって人と会話しない。地味。男だらけ。

みたいなかんじじゃなかったでしょうか(笑)

 

実際、理系弁理士だと研究者肌というか、あまり人とのコミニケーションが得意じゃない人も結構見かけますね。

やはり文系出身の弁理士さんのほうが、話が上手で、とっつきやすいかんじはあります。

 

弁理士は客商売でもあるので、クライアントと円滑なコミニケーションを取れる人の方が成功しやすいといえます。

特に弁理士として独立するとなると、クライアントを開拓する営業力が求められますので、こういった局面では文系出身者の方が有利に働くでしょう。

 

その他、法律知識や語学なども文系出身の方が秀でている傾向にあります。

こういった強みを活かせば、弁理士として活躍したり、就職・転職を有利に進めることも可能です。

文系弁理士の需要がある仕事

仕事を進めるイメージ

上で書いたように、文系弁理士は特許以外の業務をメインで扱うことが多いです。

ここでは、イメージを持ってもらうために、文系弁理士の需要がある業務をご紹介します!

具体的には、以下のようなものがあります。

文系弁理士の業務
  1. 商標業務
  2. 意匠業務
  3. 海外業務
  4. 知財契約や渉外

順に説明します!

商標業務

商標業務は、弁理士の仕事の中では特許の次にボリュームの大きい業務なので、商標をメインにやっている文系弁理士の方は非常に多いです。

商標は、商品やサービスの名前を保護する権利です。

特許事務所の商標業務においては、主に

  • 商標調査:クライアントが出願を希望する名称について、類似する先行商標がないかを調査する
  • 願書作成:商標登録出願のための願書を作成する
  • 拒絶理由通知対応:出願後に特許庁から出される拒絶理由通知(例えば、先行商標と類似する、商標に識別力が無いなどの理由で登録できない)に応答する

といったことをします。

さらに、日本だけでなく、海外で商標を取得するためのサポートをすることも多いです。

やはり、海外でビジネスをする企業にとって、その国で商標を取ることは必須ですからね。

 

なお、大企業になると、知財部の中に商標専門の部門があったりするので、企業で活躍するという選択肢もありますね。

意匠業務

意匠は物品のデザインを保護する権利。

意匠業務としては、商標と同様に、調査、願書作成、拒絶理由通知対応などをメインで行います。

 

意匠は特許や商標に比べるとだいぶ出願件数の規模が小さため、商標業務などと合わせて扱うことがほとんどです。
(私の知る限りでは意匠を専門でやる弁理士はきいたことがないですね)

 

ただ、最近になって画面デザインの意匠も認められるようになるなど、意匠権が認められる範囲が拡大しています。

それによって、今まで意匠とは無縁だったソフトウェア系の企業からの出願が増えるなど、今後さらに需要が出てくる可能性があります。

海外業務

特許や商標などを海外でも出願することが多く、海外での権利取得をサポートする業務です。

例えば、特許事務所であれば、

  • 特許庁から受けた通知の連絡
  • 現地の弁理士・弁護士からのコメントをクライアントにレポートする
  • クライアントの要望を現地に指示する

などですね。

これらのコミュニケーションは基本的に英語になります。

一般的に、文系出身の人は英語などの語学が得意な傾向があるので、それを活かせる業務と言えるでしょう。

近年は、外国出願などの海外業務比率が増えているので、語学力の強い弁理士のニーズがさらに高まっています。

知財契約や渉外

主に企業の知的財産部の話になりますが、知財関係の契約や渉外業務を扱う文系弁理士もいます。

知財をライセンスするための契約書を作成したり、ライセンシングや権利行使のために他社とやり取りしたりする業務ですね。

契約書の作成はもちろんのこと、ライセンスや訴訟においても、法律的な知識が必要となる場面が多く、文系出身の人が活躍できる業務と言えるでしょう。

 

なお、私が過去に所属した大企業の知財部では、文系出身の人は契約や渉外業務にアサインされていましたね。

(一方、理系出身の人はほとんど特許の権利化業務にアサインされてました)

意外と、特許事務所よりも企業知財部のほうが文系出身であるメリットを活かしやすいように思います。

 

ただ、企業の知財部では、必ずしも弁理士資格が求められるわけではないので、その点は留意が必要かなと。

企業内弁理士の実情については、下記の記事で詳しく書いているので、ご参考に!

社内弁理士のイメージ企業内弁理士になるメリットはあるの?【知財部員が実情を語ります】

特許の仕事をするのはあり?

茨の道ですが、文系の弁理士であっても特許業務をやるという道もあります。

実際に、文系出身で特許業務をやっている弁理士もたまに見かけます。

 

一般的に、特許の仕事をやるには、理系的な専門知識が必要であるとされていますが、技術分野によっては、文系の人でも技術的なキャッチアップが容易だったりします。

具体的に言えば、ソフトウェアの分野です。

例えば、近年出願が活発になっているIoTやビジネスモデルに関する発明などは、込み入った理系的知識はあまり必要なく、文系の人でも慣れれば十分に理解できるものが多いです。

以下の特許庁の資料を見てみれば、なんとなくIoT発明のイメージがつかめるかなと。

(参考)IoT関連技術等に関する事例について

一方で、それ以外の分野(電気工学、化学、バイオなど)は、ガチで技術的な内容になるので、理系のバックグラウンドが無いと相当ハードルが高いですね。

 

というわけで、理系弁理士に比べると技術知識という面でハンデがあるのは事実ですが、文系弁理士でもやりようによっては特許の道があるというのは、覚えておいてもよいかと思います。

まとめ

というわけで、文系弁理士の需要について書いてきました。

まとめると、

  • 弁理士の約2割は文系出身
  • 理系弁理士に比べると、年収面・就職面では不利になる傾向
  • 文系弁理士の業務としては、商標、意匠、海外業務、契約や渉外などがある

という話でした。

 

とはいえ、これはあくまでも文系のステレオタイプを想定した一般的な傾向であって、結局のところ、何をできるようになるかは本人の意志と努力次第であると言えます。

個人的には、あまり文系・理系の枠にとらわれず、キャリアを追求してみるのが良いと思うのですが、いかがでしょうか?

文系で弁理士を目指したいなら?

上記を読んで、

やはり弁理士を目指したい!

と考えている方は、まずは下記の記事を参考にしてみてください。

弁理士になるにはどうすればよいか?、知っておきたい知識をまとめています。

弁理士試験の始め方のイメージ【弁理士になるには?】知っておきたい知識と具体的な始め方を解説します!

 

文系出身で知財業務未経験の場合、上でも書いたように、就職は難しくなります。

やはり、未経験で知財の仕事に就きたいのであれば、年齢が重要になり、若いうちに動くことが重要です。

知財の仕事に未経験で就くための方法論については、下記の記事で書いています。

僕が書いた退職エントリのイメージ知財の仕事に未経験で転職できる?メーカー出身の僕が解説!

 

文系出身の弁理士の多くは特許事務所で働いています。

特許事務所の仕事は、一般企業に比べると特殊と言え、人によって合う合わないがあります。

特許事務所に転職して後悔する場合については、下記の記事で書いています。

デメリットのイメージ弁理士はやめとけ?|特許事務所に入って後悔する理由ランキング