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一般的な転職市場では、年齢が高い人は敬遠される傾向にあり、巷では「転職40歳限界説」などと言われています。
では専門職である弁理士の場合、40代、50代になっても転職はできるのでしょうか?
弁理士業界では転職が活発で、且つ実力主義なところがあり、40代を超えた転職でも比較的成功しやすいように思います。
実際、私の知り合いの弁理士でも40代、50代でも転職にはすんなり成功しています。
この記事では、私が知っている40代・50代で転職した弁理士の事例や、40代以降の転職に求められる条件について書いてみたいと思います!
ちなみに、これを書いている私は学生時代に弁理士資格を取り、新卒で企業の知財部に入って以来10年近く知財の仕事をしています。
まわりに弁理士の知り合いも多く、ある程度内情を知っているので、参考にして頂けると思います。
本記事の内容
どんな弁理士が50代で転職できる?
転職市場においては、一般的に、40歳を過ぎるとビジネスパーソンとしては完成形とみなされます。
そのため、20〜30代の求職者のように、経験は浅いが将来的なポテンシャルを加味して採用されるというケースはほぼ無くなります。
つまり、40代・50代の求職者は、これまでの実績と即戦力として発揮できる能力で評価されることになるのです。
このことは弁理士の転職においても基本的には同じです。
なお、40代と50代では、転職の際に求められるものは大きくは変わりません。
唯一違う点を挙げるとすると、企業知財部への転職の可能性ですね。
特許事務所に比べると、企業の方が年齢が影響しやすく、50代で企業への転職はあまり聞いたことがありません。
従って、50代であれば、特許事務所への転職がメインになります。
一方で、40代前半くらいであれば、特許事務所だけでなく企業知財部に転職できる可能性も十分にあります。
ただ、その年齢で企業に転職するのであれば、マネージャー相当の経験と実力が必要になります。
50代で転職に成功した弁理士の事例
ここでは、50代で転職した弁理士の事例をご紹介します。
私が知る限り、50代で転職できる弁理士はだいたい以下のパターンのいずれかかに当てはまります。
- 明細書をかけるベテラン弁理士
- 企業知財のえらい人
- 特許庁審査官あがりの弁理士
明細書をかけるベテラン弁理士
特許事務所で長年キャリアを積んで、明細書作成経験が豊富な弁理士は、50代になってもすんなり転職できている印象です。
私のまわりで、50代で転職している弁理士の多くはこのタイプですね。
やはり、特許事務所の経営者としては、明細書が書けて即戦力となる弁理士は年齢によらず欲しい人材になります。
むしろ、業界的にはベテラン弁理士が不足しがちなので、年齢に関係なく実力のある弁理士がほしいでしょう。
生涯現役で働くという観点で
弁理士資格 + 明細書作成能力
はかなり底堅いと言えるでしょう。
企業知財のえらい人
大企業の知財部でそれなりの役職を経験した方は、50代の転職でもスムーズにいっている印象です。
私の前職は大企業の知財部でしたが、50歳〜定年退職後くらいで特許事務所に移られた方がそれなりにいらっしゃいましたね。
その中には弁理士資格が無い人もいました。(といっても、部長職以上の経験者がほとんどでしたが)
大企業の知財部で役職を経験したという経歴は、弁理士資格にも匹敵する、と言えるのではないかと思います。
特許庁審査官あがりの弁理士
審査官あがりの弁理士が特許事務所に転職するケースもそれなりに見かけます。
特許庁の審査官を長年やっていて、試験免除で弁理士資格を取った、という人ですね。
やはり、弁理士は特許庁とのやり取りが主な仕事の一つですので、審査官をやったキャリアは評価されます。
50代を過ぎている方も大手特許事務所に普通に入っていましたね。
40代以降で未経験の転職は難しい?
では、40代、50代の方で、弁理士資格は持っているが、知財業務未経験である場合はでどうでしょうか?
ここまで読んでいただけた方ならお分かりかと思いますが、40代以降の転職ではどんな形にせよ、年齢相応の知財業界におけるキャリアが必須です。
従って、弁理士資格があっても知財業務未経験の方がいきなり転職するのは、かなり難しいと言わざるを得ません。
ただし、やりようが全く無いわけではありません。
年齢に比して業務経験が無いことが最大のネックですので、これを補ってやれば良いのです。
例えば、
- 現職の会社で知財部門に異動する
- 開発部門で特許リエゾンを担当する
- 発明者として特許出願・権利化のプロセスに関与する
など、知財業務に関連する職歴を積み重ねることで、弁理士として転職できる確度を高めることができます。
知財の仕事に未経験で就くための方法論については、下記の記事で詳しく解説しています。
知財の仕事に未経験で転職できる?メーカー出身の僕が解説!50代の弁理士が転職で成功するためには?
上で挙げたように、50代で転職している弁理士も意外といます。
といっても、年齢と共に転職のハードルが上がるのは確か。
やはり、50代で転職できている弁理士は、これまでの経歴をちゃんと棚卸しして、転職先選びや自身のアピールにうまく活用しています。
ここでは、40代、50代の弁理士の方が転職で成功するためのポイントを挙げていきたいと思います。
- 自身のスキルを見つめ直す
- 売りとなるキャリア・コネを整理する
- 自身の強みを活きる転職先をリサーチする
- 弁理士の転職支援に強いエージェントを使う
- スカウトを待つスタイルもあり
自身のスキルを見つめ直す
40代・50代の方は、20年以上の長きにわたる社会人経験があります。
転職にあたっては、改めて自身がこれまで築いてきたスキルを棚卸ししてみることをおすすめします。
その際、自身のスキルをより細かく詳細に整理してみると良いです。
例えば、弁理士の転職で評価されるスキルの1つに明細書作成能力があります。
ただ、それなりに明細書作成経験がある弁理士はごまんといるわけで、50代の転職で求められるレベルはそれなりに高いです。
漠然と「明細書を書いた経験が豊富」というだけでなく、
- 強みのある技術分野
- 得意なクライアントのタイプ(大手の案件を効率的にこなすのか、スタートアップをじっくり支援するのか)
- 発明発掘の経験
といった観点を深堀りしていくと良いでしょう。
スキルを詳細化することで、自分に合った転職先選びのヒントになりますし、面接での効果的なアピールに使えます。
売りになるキャリア・コネを整理する
スキルに加えて、長年の仕事で築き上げた人脈なども整理しましょう。
企業知財や特許庁のOBの方は、事務所でバリバリ明細書を書いてた経験はないけど、50代での転職に成功しています。
何故かというと、売りとなるキャリアやコネがあるからです。
例えば、知財部OBであれば、その企業と付き合いがある特許事務所に入る(悪くいうと天下る)ことで、企業とのコネクションが強化されることになります。
もちろん、社内の事情に精通してますし、クライアント側の担当者が元部下みたいなこともあるので、事務所側もなにかとやりやすくなります。
また、審査官OBの弁理士であれば、特許庁にコネがあって、中間処理や審判で強いとアピールできますね。
実際、私が昔大手特許事務所に訪問したときに、審査官OBの弁理士を紹介されて、
御社の案件でおかしな拒絶理由通知があったら教えて下さい!こちらの弁理士は特許庁のOBなんで、審査官にガツンと言ってもらいますよ!
と言われたことがあります。
このように、特許事務所の視点から、クライアントへのアピールになるようなキャリア・コネを整理しておくと良いでしょう。
自身の強みを活きる転職先をリサーチする
スキルや人脈など自身の強みの棚卸しができたら、次に自身の強みが活きる転職先をリサーチしましょう。
上で書いたように、40代以降の転職ではその時点でのスキル・経歴が評価される(将来的なポテンシャルは加味されない)ため、企業によって採用可能性のある無しが極端に別れます。
Webや転職サイトなどで求人情報を見て、自身の経歴にニーズがありそうな業界・企業体などをリサーチしておくことで、遠回りをせずに済みます。
もし特定の企業や業界について詳細に調べたいのであれば、転職会議というサービスも参考にすると良いと思います。
転職会議では、企業の職場の雰囲気や給与・待遇などについて、在職者や元社員の口コミがあるので、転職先選びの参考になります。
また、一般企業だけでなく大手の特許事務所などの口コミも結構集まっており、例えば、以下のような特許事務所の口コミがあります。(口コミ数順)
- 特許業務法人志賀国際特許事務所
- 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT&TRADEMARK
- 特許業務法人深見特許事務所
- 特許業務法人酒井国際特許事務所
- 特許業務法人磯野国際特許商標事務所
- 特許業務法人太陽国際特許事務所
転職会議は無料登録でき、現職や過去に勤務した会社ついて口コミ投稿をすることで、他人の口コミを一定期間無料で閲覧できるようになります。
転職先を検討する際に、何かと重宝するのでぜひ登録してみてはいかがでしょうか?
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弁理士の転職支援に強いエージェントを使う
特許事務所などでは、公式サイトから直接求人に応募することもできます。
しかし、こういった場合でも可能な限り転職エージェントを介して応募することをおすすめします。
面接のスケジュール調整や採用時の条件交渉などにおいて、エージェントを介した方がスムーズにいくためです。
当然ながら、弁理士や特許事務所への転職の支援経験が豊富なエージェントを使うことが大前提です。
弁理士の転職には、リーガルジョブボード(LEGAL JOB BOARD)というエージェントがおすすめです。
リーガルジョブボードは、知財業界の転職を専門に扱っている担当者がおり、特許事務所の求人に強い転職エージェントです。
担当者が特許事務所からヒアリングして情報収集を行うと共に、事務所との関係構築に努めています。
そのため、リーガルジョブボードのエージェントを利用することで、
- 自分に合った働き方を踏まえた求人の紹介が受けられる
- 特許事務所などの細かい給与体系や実際の残業時間についての情報が得られる
- 面接の日程調整や給与交渉などを任せられる
など、求職者に心強いサポートが受けられます。
また、リモートワークや時短勤務といった、求職者の勤務条件について事務所側と交渉してくれるなど、特許事務所とコネクションを持っているエージェントだからこその強みがあります。
なお、リーガルジョブボードでは、サイト上の公開求人を閲覧でき、エージェントを利用するかどうかに関わらず、ユーザ登録しておくと転職活動において何かと便利です。
登録は無料なので、特許事務所への転職を検討されている方はまずは登録してみましょう。
\知財専門のスタッフが在籍しており、弁理士の転職支援に強い!/
なお、企業知財部に転職する場合なども含めて、知財の転職におすすめのエージェントは、下記の記事で詳しく紹介しています。
知財・弁理士の転職エージェントおすすめ6選|体験談も紹介しますスカウトを待つスタイルもあり
40代以降になってくると、会社でそれなりの役職が付いたりして転職に慎重になりがちです。
今すぐ転職する気はあまり無いけど、良い案件があれば検討したい
といったように、様子見したい場合もあるでしょう。
そんな方は、ビズリーチに登録しておくと良いでしょう。
ビズリーチは、マネジメントやエクゼクティブ層などのハイクラスの求人案件が豊富な転職サイトです。
スカウト機能があり、ユーザが登録したプロフィールを企業の採用担当者が閲覧できるようになっています。(プロフィールは匿名で表示されます)
私も過去に採用担当の立場でビズリーチを利用したことがあり、弁理士や大企業知財部のシニア層の方などを中心に結構な数の登録がありました。
やはり知財のトップ層の方はこうやって自分の市場価値をチェックしているんだなぁと思った記憶がありますね(笑)
転職エージェントのように、担当者から頻繁に連絡が来ることもないので、じっくりと良い求人がないか吟味できます。
転職は様子見の方も、自分の市場価値を測る意味でも登録しておくと良いでしょう。
\ハイクラスの求人案件が豊富でシニアの方におすすめ!/
まとめ
というわけで、40代・50代の弁理士の転職事情についてでした。
まとめると、
- 特許事務所で長年キャリアを積んだベテラン弁理士は、50代でも比較的転職に成功しやすい
- 知財部や特許庁OBが50代で特許事務所に転職している事例もあり
- 50代の転職では、明細書作成能力か、それに相当するキャリアが求められる
- 40代前半であれば、企業知財部への転職の可能性はある
ということですね。
また、40代以降の弁理士が転職で成功するためのポイントとして、
- 自身のスキルを見つめ直す
- 売りとなるキャリア・コネを整理する
- 自身の強みを活きる転職先をリサーチする
- 弁理士の転職支援に強いエージェントを使う
- スカウトを待つスタイルもあり
を挙げました。
弁理士は、他の職業に比べれば、比較的年齢が上でも転職に成功しやすいと言えます。
しかし、年齢相応のスキルや経験が要求されるので、自身のスキルや経年を詳細に棚卸しすることが重要です。
また、リーガルジョブボードなどの弁理士の転職の支援実績が豊富なエージェントを使うことも、転職を成功させるためのポイントです。
参考になれば幸いです!
なお、弁理士の主な転職先である特許事務所は、規模的に零細企業に相当することもあり、職場環境にかなりバラツキがあります。
従って、特許事務所選びには注意が必要です。
特許事務所への転職で後悔しないためのポイントについては、下記の記事で詳しく書いています。
特許事務所はやめとけ?転職で後悔する理由ランキング
年齢や職歴によっては、企業の知財部門への転職も視野に入ってきます。
知財部への転職については、下記の記事で詳しく書いています。
知財部への転職はなぜ難しいのか?【採用担当者が理由を解説します】