一般的に、弁護士というと法学部の出身者が目指すイメージですが、中には理系出身で弁護士になった人もいます。
では、理系出身の場合、どうやったら弁護士になれるのでしょうか?
この記事では、理系から弁護士になるための方法について書いてみたいと思います!
本記事の内容
理系から弁護士を目指すのは現実的?
一般的に、弁護士は大学で法学部を修了した人が目指すイメージです。
例えば、知的財産の仕事などをやっている理系出身の人が、よりキャリアアップを目指して弁護士を検討するパターンです。
実際、私のまわりでも、弁理士や企業知財部の人が、キャリアアップを目指して弁護士を目指すケースを見ています。
では、理系出身の人が「弁護士になりたい!」と思ったとして、そこからどうすればよいのでしょうか?
以下、弁護士になるまでを解説します!
弁護士になるまでの道のり
弁護士になるためには、司法試験に合格し、1年間の司法修習を経ることが必要です。
しかし、司法試験は誰でも受験できるわけではありません。
司法試験の受験資格を得るためには、以下の2つの方法があります。
- 法科大学院を修了する
- 予備試験に合格する
なお、2023年から法科大学院の最終学年で司法試験を受験することが可能になります。(ただし、在学中に司法試験に合格しても、法科大学院を修了しないと司法修習に進むことはできない)
法科大学院は修了までに最低2年(法学未修習の場合は3年)かかりますし、予備試験は合格率約3%とめちゃくちゃ難しい試験です。
つまり、そもそも「司法試験の受験資格を得るまでがすごく大変!」ということですね・・・。
理系(法学部以外の出身)から目指すのは大変
理系出身であっても法学部出身であっても、弁護士になるまでの流れは基本的には同じです。
しかし、理系(法学部以外の出身)だと、当然ながら大学で法律の勉強をしていないので、ほとんどの人は法律知識については一般人レベルでしょう。
大学4年間で法律を学んだ法学部出身者とは、出だしの時点で差がついてる状態です。
さらに、理系で弁護士を目指そうとしている人は、すでに社会人で仕事を持っている人がほとんどだと思われます。
がんばって仕事と勉強を両立させるのか、いっそのこと仕事を辞めてしまうのか、難しい判断を迫られます。
このように、理系社会人は、法学部を出てすぐに弁護士を目指す人と比べると、諸々の面でハンディキャップがあることは否めません。
とは言え、理系出身で弁護士になっている人も実際にいるので、個人の才能と努力次第では可能な話です。
理系社会人が弁護士の受験資格を得るためには?
上で書いたように、理系の場合、法律知識がほぼゼロ且つ仕事を持っているというのが前提かと思います。
その前提の上で、理系社会人が弁護士になるには具体的にどういうやり方があるのか?
司法試験の受験資格を得るには、主に以下の3つのやり方があります。
- 仕事を辞めて、法科大学院に入る
- 仕事を続けながら、長期履修制度のある法科大学院に通う
- 仕事を続けながら、予備試験合格にかける
1. 仕事を辞めて、法科大学院に入る
今の仕事を辞め、学生に戻って法科大学院に通うという選択肢です。
ほとんどの法科大学院では日中に講義が行われるため、それについていくためには、必然的に仕事を辞めて、勉強に専念することになります。
その代わり、法科大学院を終了することで、確実に司法試験の受験資格が得られるというメリットがあります。(ただし、司法試験に合格できるかは別問題)
デメリットとしては、経済面で苦しくなることと、時間がかかることです。
当然ながら、仕事を辞めることによって収入は断たれますし、法科大学院の学費もかかります。
また、理系出身などの法学未修習者の場合、法科大学院は修了までに3年を要するのが一般的です。
(法科大学院に入る前に猛勉強して、法学既修者向けのコース(2年で修了)に入る選択肢もありますが、これはこれでハードルが高いです・・・。)
仮に法科大学院を修了して受験資格を得たとしても、法科大学院修了者の司法試験合格率は30%程度。
法科大学院を出たからといって必ずしも司法試験に合格できるわけではないのが現状です。
そんなわけで、会社を辞めて法科大学院に通うという選択肢は、リスキーな選択肢ではあります・・・。
例えば、20代前半で仮にダメでも年齢的にやり直しが効く、などの条件でないと厳しいんじゃないでしょうか?
あと、もしお勤めの会社に休職制度などがあれば、会社に席を残しつつも一定期間法科大学院に通うことが可能なので、そういった可能性を検討してみるのも一案です。
(実際、私の前職では、法科大学院に通うために休職した人がいましたね)
2. 仕事を続けながら、長期履修制度のある法科大学院に通う
長期履修制度のある法科大学院を選択して、仕事を続けながら法科大学院に通うという選択肢です。
一部の法科大学院では、社会人向けに長期履修制度を設けているところがあります。
長期履修制度とは、
標準修業年限を延長して、夜間や休日の講義を中心に必要単位を獲得できる制度
のことです。
長期履修制度がある法科大学院としては、
が挙げられます。
メリットとしては、学費の出費はあるものの、仕事を続けながら司法試験の受験資格を得られるという点ですね。
一方で、仕事をしながら夜間や休日の講義を受講するのは肉体的にハードですし、何より年数がかかるのがデメリットです。
通常だと、法学未修習者向けのコースは3年ですが、長期履修学生制度では4年かけて修了することになるので、この長期間モチベーションを維持し続けるのは大変です。
また、上で書いたように、法科大学院を出たからといって必ずしも司法試験に合格できるわけではないのが現状です。
そもそも、長期履修制度がある法科大学院が東京と福岡にしか無いので、それ以外の地域に住んでいる人は取り柄ない選択肢ですね。
3. 仕事を続けながら、予備試験合格にかける
法科大学院には通わず、予備試験合格によって司法試験の受験資格を得るというルート。
法科大学院に通うという経済的、時間的負担が無いというのが大きなメリットです。
また、予備試験合格者の司法試験合格率は約8割と、法科大学院出身者の合格率よりもはるかに高いです。
しかし、それは予備試験がとんでもなく難しいことの裏返しです。
予備試験の合格率は約3%と超難関な試験なのです。
当然ながら、予備試験合格までに途方も無い勉強時間が必要ですし、独学での合格はほぼ不可能なので、予備校の講義を受講する費用もかかります。
このように、予備試験ルートは、法科大学院という大きな初期投資をする必要が無い分、うまくいったときのメリットは計り知れません。
しかし、現実的には、非常に確率の低い賭けであり、夢で終わってしまう可能性も非常に高いです。
これは、1億円の当選金を夢見て宝くじを買い続ける、というのに似ています。
それでも、現状では、社会人が弁護士を目指す場合には、予備試験ルートを選択することが一般的になっています。
原因としては、やはり法科大学院出身者の司法試験の成績が振るわないことでしょう。
それなら、「可能性は低くても予備試験で一発当てよう」という発想になるのは致し方ないかと思います。
まとめ
というわけで、理系から弁護士になるための方法について書いてきました。
まとめると、
- 弁護士になるためには、司法試験に合格し、1年間の司法修習を経ることが必要
- 司法試験の受験資格を得るためには、法科大学院を修了するか、予備試験に合格することが必要
- 理系(法学部以外の出身)であっても、弁護士になるまでの流れは法学部出身者と基本同じ(ただし、法科大学院修了までの年数は長くなる)
- 現状、社会人受験生は、仕事を続けながら予備試験合格にかけるという選択をしている人が多い
ということですね。
やはり、弁護士は国家資格の中でも最難関であり、その道は容易では無いということですね。
ご参考になれば幸いです!