弁理士は難関資格として知られています。
その中で、短答試験は、その後の論文試験、口述試験の前に立ちはだかる第一関門となります。
しかし、第一関門とは言え、短答試験は最も出題範囲が広く、近年では合格率も下がってきています。
そのため、
短答を制する者が弁理士試験を制する
と言っても過言ではない状況になっています。
というわけで、この記事では弁理士の短答試験の対策法について書きたいと思います!
ちなみに、これを書いている私は、学生時代に弁理士を目指し、LECに通って猛勉強した末、弁理士試験に一発合格した経験があります。
過去に論文対策で苦労した経験を踏まえて書いているので参考にして頂けると思います。
なお、全体的な弁理士試験の勉強法については下記の記事をご参照ください。
弁理士試験の勉強法|一発合格のための非常識なやり方とは?本記事の内容
弁理士短答試験の概要
まず、短答試験の概要を確認しておきましょう。
- 試験形式: 筆記式(マークシートに記入)
- 問題数: 60問
- 試験時間: 3時間30分
- 受験地: 東京、大阪、仙台、名古屋及び福岡
- 合格率:20.1%
短答試験は、マーク式の筆記試験で、5つの選択肢の中から答えを選択します。
試験時間3時間30分で、60問を回答します。
出題範囲
短答試験の問題の内訳は、
- 特許・実用新案に関する法令 20題
- 意匠に関する法令 10題
- 商標に関する法令 10題
- 工業所有権に関する条約 10題
- 著作権法及び不正競争防止法 10題
となっています。
特実意商に加えて、著作権、不正競争防止法、条約などからも出題されるため、論文・口述試験と比べると、出題範囲が広いのが特徴です。
合格基準点
短答試験の合格点は年によって変動しますが、39点前後になることが多いようです。
ただし、各科目について合格基準(満点の40%)を下回る科目が一つもないことが合格の条件となります。
例えば、「著作権法及び不正競争防止法」について10問中3問しか正解しなかった場合、例え全体として合格点を上回っていても不合格となってしまいます。
というわけで、現行の試験制度では、各科目満遍なく対策しなければならないことは覚えておきましょう。
(昔はこの縛りがなかったので、マイナーな科目を捨てることもできたのですが・・・)
短答試験の対策法
ここからは、短答試験の対策法についてです。
- 弁理士基礎講座で土台を作る
- 過去問題集と法文集を揃える
- 短答過去問を回して完璧にする
- 青本は基礎力がついてから
- 初学者は短答の対策に全集中する
- 短答模試で直前対策
弁理士基礎講座で土台を作る
短答試験に受からないと、その後の論文試験の受験資格が得られませんので、受験者はまずは短答試験の合格を目指すことになります。
弁理士試験で必要な知識を身に付けるためには、各資格予備校が提供する弁理士試験の基礎講座が欠かせません。
弁理士講座の講義では講師がわかりやすく解説してくれます。
そのため、漫然と参考書やテキストを読むよりも、遥かに体系的且つ効率良く知識を定着させることができます。
2021年時点で、弁理士試験対策の講座を提供している予備校は以下の6つほどありますが、各予備校の特徴や受講料がマチマチなのが悩ましいところです。
迷ったら、まずは下記の2つの予備校を比較検討してみることをおすすめします。
- LEC(東京リーガルマインド) ※弁理士予備校の最大手で合格実績が豊富!短期合格を狙いたいならここ
- 資格スクエア ※オンラインの弁理士講座を提供。受講料がLECのほぼ半額と安い
各資格予備校の弁理士講座の比較については、下記の記事でまとめています。
弁理士の通信講座おすすめ【2024年版】全予備校を徹底比較過去問題集と法文集を揃える
短答試験の対策に欠かせないのが、過去問題集です。
できれば、上記の基礎講座と並行して、習ったテーマの過去問を解いていくことをおすすめします。
短答試験の過去問題集としては、「弁理士試験 体系別短答過去問」を使います。
こちらは、大手資格予備校のLECが出版する短答試験の過去問です。
過去10年分の本試験の過去問が収録されています。
の2冊に別れていますが、漏れなく購入しましょう。
また、短答過去問題集と合わせて法文集も必要になります。
弁理士試験用の法文集はいくつか種類がありますが、個人的にはPATECH企画の「知的財産権法文集」がおすすめです。
短答試験対策ということであれば、さしあたり上記で紹介したものがあれば十分かと思います。
最終的には、改正本や審査基準なども読み込む必要がありますが、ある程度学習が進んでからで良いでしょう。
なお、弁理士試験の参考書については下記の記事で詳しく書いています。
弁理士試験の参考書おすすめ|法文集やテキストもご紹介!短答過去問を回して完璧にする
弁理士講座で一通りの知識がついたら、本格的に過去問に取り組んでいきます。
短答試験においては、
過去問題集を何回も回して完璧にできるようにする
というのが王道の対策法です。
ここで注意すべきは、過去問への取り組み方です。
過去問を解く際は、
すべての選択肢について、根拠条文と誤っている理由が正確に説明できるようにする
ということを意識しましょう。
言い換えると、仮に答えが合っていても、その理由付けや根拠条文があやふやな場合、その問題はできたということにはなりません。
過去問を通じて条文を正確に理解することが目的なので、問題単位で「正解した、間違った」というのは大して重要ではないのです。
従って、過去問を解く際は、単に選択肢ごとの正誤だけでなく、対応する条文や理由付けを書くようにしましょう。
そして、解答を確認する際は、問題集の解説を確認するだけでなく、法文集を開いて関連する条文を精読するようにします。
あまりに理解できてないテーマがあれば、弁理士講座の関連する講義を聞き直しても良いでしょう。
このようにして、解けない問題がゼロになるように過去問を繰り返し学習します。
10年分の短答試験の過去問でこれが完璧にできるようになって、ようやく短答合格の土台に乗ることができます。
青本は基礎力がついてから
巷で推奨される短答の対策法として、
青本をひたすら読み込むべし
ということがよく言われます。
青本とは、「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」のことです。
青本では、特許法などの各条文の立法趣旨、旧法からの変遷などが書かれており、条文を深く理解することができます。
しかし、初学者が手を出してしまうと消化不良を起こす可能性大です。
少なくとも、青本に手を出すのは、弁理士の基礎講座が完了して一通りの知識がついてからにしましょう。
個人的には、正直、予備校のテキストや過去問題集の解説で青本の内容が引用されているので、世間で言うよりは必須度は高くないと思っています。
過去問を解く中で関連する条文を参照する程度であれば良いと思いますが、単に青本をじっくりと読むだけでは効率が悪いです。
やはり、上述した「過去問を解く」というアウトプットを短答対策のメインに据えるべきです。
ちなみに、私が受験生のときは、青本は買いませんでしたが、短答試験で50点以上取れました。
初学者は短答の対策に全集中する
ある程度勉強が進むと、「論文試験の対策もやらなきゃ・・・」と焦ってくるかもしれません。
しかし、初学者の方は、まずは短答試験の対策に全集中するで良いと思います。
中途半端に論文に手を出すのはおすすめしません。
短答の勉強で得た知識は、残りの論文や口述の土台となるものです。
短答に合格するだけの実力があれば、弁理士合格に必要な知識の8割方はついていると言って良いと思います。
論文の対策は、短答試験の終了後に一気呵成でやってしまうのが良いと思います。
短答模試で直前対策
短答試験の対策でポイントになるのが、短答模試の使い方です。
模擬試験で極力本番に近い環境で予行演習をすることで、本試験で実力を出し切る可能性が高まります。
というのも、短答試験では、3時間30分の間に60問を回答しなければなりません。
問題文や各選択肢は結構文章量があるので、かなりのスピードが要求されます。
悩んで「う〜ん」と考え込んでしまうと時間切れになる可能性大・・・。
時には問題を捨ててでも先に進むという判断も必要になります。
こういった本番を想定した緊張感を持った演習は、自宅ではなかなか行うことができません。
従って、各資格予備校の短答模試を活用するのが一番です。
弁理士短答試験の公開模試はLECとTACが開催しています。
※2022年度の短答模試は終了しています
少なくともどちらかの模試を必ず受けて、本試験に備えましょう。
まとめ
というわけで、弁理士短答試験の対策法について書いてきました。
まとめると、
- 短答対策には、まず資格予備校の基礎講座で土台を作る
- 過去問題集と法文集を揃え、すべての選択肢について正確な判断をできるようにする
- 青本を読み込むのは基礎力がついてから
- 短答模試などを活用して本番形式の演習を必ず行う
ということですね。
ご参考になれば幸いです!
なお、全体的な弁理士試験の勉強法については下記の記事で書いています。
合格までに必要な勉強時間や初学者が弁理士を目指すにあたっての心構えを書いているので参考にしてみてください!
弁理士試験の勉強法|一発合格のための非常識なやり方とは?
短答試験を突破すると、論文試験が待ち構えています。
論文試験は、弁理士試験を通じて一番実力が求められる過酷な試験となります。
論文試験の対策法については下記の記事をご参照ください。
弁理士論文試験の対策法おしえます!書き方もご紹介
短答試験に合格できるための基礎知識をつけるには、資格予備校が提供する弁理士講座の利用が欠かせません。
各資格予備校の弁理士講座の比較については、下記の記事でまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください!
弁理士の通信講座おすすめ【2024年版】全予備校を徹底比較